【訪問看護ステーション】職場環境を改善するために『提案』をしよう!

訪問看護師のまおつんです。

相談者
訪問看護師ステーションで働いていますが、職場の環境を改善したいです。
人間関係は良いので転職はしたくありません。何かいい方法ありますか?

全国に13,000~14,000もあるといわれている訪問看護ステーションですが、職場によって働く環境などは大きく違うという現状があります。

また、働いている人も様々なので、人間関係で悩む訪問看護師も多いです。

今回は、転職するほどではないけれど、今の職場を改善したいと思っている訪問看護師に向けて、具体的な提案方法などについて解説していきます。

 

このブログでは訪問看護のリアルな仕事について情報を発信しています。もし興味があれば関連記事もご覧ください。

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訪問看護師が職場に提案をするべき理由

冒頭にも紹介したように、現在日本全国では訪問看護師ステーションが13,000~14,000もあるといわれており、今後もさらに増えていくと予想されます。

これの背景には、日本全体が高齢化社会になる事がほぼ確実であることや、在宅医療の需要がますます高まる事が期待されているからです。

 

しかし、市場としてはまだまだ発展の途中である訪問看護は、職場によって環境や待遇が大きく異なる事も事実であるため、中には大変な職場で働いている看護師の方もいます。

私の願いとしては、現場で働く看護師の声がもっと活かされることで、訪問看護師がもっと魅力に思ってもらえるようにしたいと思っています。

 

実際に日本訪問看護協会などの団体では、厚生労働省に対して要望書を定期的に出す活動をしていますが、これの元になっているのは現場で働く訪問看護師の皆さんの声です。

関連記事にもまとめてあるので、気になる方は覗いてみてください。

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職場で感じた違和感を大事にする

訪問看護には需要が増加している傾向があるものの、新卒ではじめて働いた職場で教えられた事がどんなに変な事でも「これが当たり前」と思う人が多いようです。

でも、実はここに大きな落とし穴があり、周りが見えていない看護師は違和感を持つことなくその職場の環境に染まっていまいます。

 

私は実際にいくつかの訪問看護へ転職を経験していますが、前の職場で当たり前だったことが、別の職場ではマナー違反だったという事がざらにあります。

そのため、自分が率直に何か変だなと思った事や、感じた違和感を持ち続けるということが重要です。

 

 

声を上げなければ職場は変わらない

訪問看護ステーションは営利団体なので、利益を目的に運営されています。

そのため、時には経営者が利益を優先するあまり、看護師に無理な働かせ方をする事でブラックな職場になっているケースも中にはあります。

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こういった現状がありながらも、長く同じ職場で働いていると、職場の環境に馴染みすぎて違和感を感じ無くなったり、「何を言っても無駄だ」と諦めてしまう人も多いようです。

今の職場の環境を変えたいと思うのであれば、まずは声を上げることです。

 

正しい方法で『提案』を

とはいっても、自分が思った事やこうした方が良いというアイデアを率直に言える職場環境ばかりではありません。

そのため、今回の記事で解説をする『提案』をするにも、正しい方法で行わないと、逆に職場の人間関係に亀裂を生みかねません。

次からは、具体的に提案を行う時のコツなどを詳しく解説していきます。

まおつん
職場の環境を変えるのためには、正しく『声』を上げましょう。

提案を行う時のポイント

訪問看護で職場の環境を改善するために、具体的にどのような点に注意しなければいけないのかを解説します。

以下の4つの項目は提案を行う時に重要になるので、必ず押さえておいて欲しいポイントです。

【提案を行う時のポイント】
1、まずは身近の人と共感する
2、ただの愚痴にならないように注意する
3、できるだけ多くの声を集める
4、ネガティブな提案はNG

5、「患者さんのために」が最強ワード

どれも重要なことなので、ひとつずつ解説していきます。

 

1、まずは身近の人と共感する

職場に提案をする時には、まずは身近な人と改善点について共有する必要があります。

いきなり上司に相談するのではなくて、まずは同僚など身近な人に「私はこう思うんだけどどうかな?」お相談するようにしましょう。

自分の考えに共感してくれる人が1人でもいれば、今後の自信にもつながりますし、上手くいかなくなった時でも心の支えになるはずです。

 

2、ただの愚痴にならないように注意する

身近な人に共感してもらう事は自分の精神面を安定させるためにも貴重な存在です。

ただし、相談することと愚痴を言う事は全く違うという事を覚えておきましょう。

相談というのは、「こうなったら良いと思わない?」や「私はこうしたいと思うんだけど」と具体的な例を出して、その解決策についてアドバイスをもらうということです。

 

一方で愚痴というのは、「うちのステーションはサービス残業が多くて本当にブラックだよね」や「○○さんに△△と言われてめっちゃ腹が立つ」というような事です。

同僚と愚痴を言い合ってストレス発散をすることでメンタルを保つ方法もいいですが、今回の最終目標は提案をして職場の改善をすることなので目的をはき違えないようにしましょう。

本当に職場の環境を変えたいのであれば、愚痴はそこそこにしておいて「どうやったら改善できるか」という点について相談やアドバイスをしなければいけません。

 

3、できるだけ多くの声を集める

具体的な解決策の道筋が見えたあとは、出来るだけ同じことを思っている人を周りに集めておく事が必要です。

同じステーションの中に多くの同じ意見が集まると、経営者も対策に動かざるを得なくなります。

全ての同僚に直接聞いたり、職場内で大々的にアンケートを取ったりするのは難しいと思うので、親しい同僚などに「○○さんはどう思っているかな?」などと間接的に周りの想いを把握しておくと良いかも知れません。

多くの人が反対している提案なのに、自分だけこの主張を通すのはかなりの労力を必要としますし、多くの賛成を得られないと経営者に提案を受け入れてくれる可能性も低くなります。

 

4、ネガティブな提案はNG

提案にもいろいろな種類があると思いますが、ネガティブな提案は基本的にNGです。

例えば、「私はあの患者さんを担当したくないので他の人を付けて欲しい」や「私は○○が苦手なので他の人にやって欲しい」などの提案です。

これらは提案ではなく、ただのワガママです。

 

同じステーションで働いている看護師は、全ての人が自分のやりたい仕事だけをやっているわけではありません。

それを理解していればこのような自分勝手な提案は出ないと思いますが、自分の好きなようにする事が提案ではないことに注意しましょう。

 

5、「患者さんのために」が最強ワード

実際に経営者へ上司へ提案を行う際の最強ワードが「患者さんのために」です。

このアイデアを行う事で最終的に患者さんのためになるという事を上手く表現できれば、受け入れざるを得ないという状況になります。

 

患者さんをダシに使うのはズルい考え方だと思われるかもしれませんが、職場の改善を行う事は最終的には患者さんのためにもなるというのは事実です。

例えば、「フレックス時間の勤務を導入して欲しい」という提案が受け入れられると、看護師の業務時間の融通が利かせられるようになり、患者さんの都合に合わせてシフトを組むことも可能になります。

 

さらにフレックス時間を導入している職場に魅力を感じて新しい入職希望者も増える事が期待でき、患者さんにとってより利便性の高いステーションを実現させることが出来ます。

つまり、看護師の職場を改善する事は、結果的に患者さんのためになっているという事です。

 

 

まおつん
「職場改善=患者さんのため」という訴えは決して屁理屈ではありませんよ。

 

 

提案のケーススタディ

ここからは実際の提案の例を紹介しながら具体的な提案方法を解説します。

【提案のケーススタディ】
1、最後の訪問先から家に直帰したい時
2、新しい人を雇って増員して欲しい時
3、必要な物品等を購入して欲しい時
1、最後の訪問先から家に直帰したい時

その日の最後の訪問先の仕事が終われば、いったん事務所に帰ってその日の報告書などを書いて帰宅する場合が多いと思います。

しかし、たまたま訪問先から自宅が近い場合は、そのまま直帰した方が楽な場合もあると思います。

子供が学校から帰ってくる時間であるとか、早く帰って家事を済ませたいなどの事情がそれぞれあると思うので、時間を有効活用するためにも提案してみると良いと思います。

 

自宅に一度帰ってから報告書を書いてその日にメールなどで送ってもいいか上司や管理者へ提案をしましょう。

提案をするには、実際に同様のケースが1週間にどのくらいあるのか、同僚などにも聞いておくと良いと思います。

出来るだけそういう件数が多ければ多いほど、提案を受け入れてくれる可能性は高くなります。

そもそも上司や経営者にしてみれば、看護師が必ずしも事務所にいて欲しい用事がある時以外は、直帰してもらっても何も問題は無いはずです。

 

時間で給料を計算しているパート勤務であれば、訪問先で業務が終わったら事務所へ直帰する旨を連絡し、家で報告書を書く時間を30分のみなし勤務として給料を計算してもらうなどの提案が出来れば、事務所側も看護師側もどちらも手間が減るメリットがあります。

 

2、新しい人を雇って増員して欲しい時

訪問看護ステーションは基本的に人手不足なところが多いので、看護師一人ひとりの負担が大きい職場があります。

そんな時には新しい人を雇って欲しいと思うのが自然だと思います。

多くの看護師を抱えていた方がシフトの調整もしやすいのですが、経営者にしてみれば人を雇うだけでも大きなコストアップになるので、現状を理解しながらもあえて人を増やさないというところもあると思います。

ただし、看護師の数が明らかに少なく、ひとりあたりの負担が大きくなりすぎるのであれば、新しい人を雇ってもらうように提案するのが得策だといえます。

 

おすすめの方法としては、自分の知り合いなどの看護師を紹介してあげる方法です。

実は、訪問看護ステーションで新しい人をひとり雇うためには、転職サービスへ支払う紹介料などで数十万円のコストが掛かっているようです。

しかし、自分の知り合いを紹介してあげる事で、これらのコストは不要になりますし、あなたの信頼が高ければきっと良い人を紹介してもらえると期待感も高まります。

資格はあるけど看護師として働いていない専門学校や大学の友達などが周りにいれば、一緒に働いてみないか誘ってみるのもアリだと思います。

 

 

3、必要な物品等を購入して欲しい時

仕事で必要な物品を購入して欲しい時も良くあるケースだと思います。

マスクやオムツなどの小さい消耗品から、電子タブレットなど高額なものまで様々なものがあります。

中には必要は物を自分で購入している看護師もいますが、仕事で使うものは基本的に職場で買ってもらった方が良いです。

 

特にタブレットや設備など高額な物品を購入して欲しい時に、有効な説明方法としては別の看護ステーションの成功事例などを教えてあげる事です。

もし自分が転職の経験があれば「前の職場は○○があってとても便利でした」と伝えるのも良いですし、「□□のステーションでは、△△を使って成功しています。」と具体的な成果を教えてあげる事が効果的です。

例えば「電子カルテを導入する事で毎月の残業時間が5時間減らせます」と数字の根拠までを示して提案が出来れば良いですが、そこまでは難しいと思うので上記のように具体的な事例を持って提案する方法を取りましょう。

 

 

それでもダメなら…

訪問看護ステーションの職場を改善するために声を上げるのは、非常に労力が掛かるので、忙しい職場だとそんなことに手が回らないという人もいると思います。

今回は提案の方法について詳しく解説していきましたが、すべてが提案通りにいく事ばかりでもありません。

こんなことを言ってしまえば元も子もなくなってしまいますが、職場がそもそも提案を受け入れるような姿勢ではない場合や、言っても無駄だと思った場合にはさっさと転職してしまうのも方法のひとつと考えておきましょう。

職場の環境が悪いステーションは、看護師がなかなか定着せず、結果的に患者さんにも良いサービスが提供できなくなり、衰退していくしかありません。

そのようなブラックな職場に対しては、いくら労力を掛けたとしても報われる可能性が低く、あなたの体力を消耗してしまうだけという場合があります。

 

自分の身を守るためにも、そういう職場だと気付いたらすぐに脱出して転職をするようにしましょう。

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まとめ

今回は具体的な提案の方法について解説しました。

職場環境を改善するためのポイントを最後におさらいしておきます。

【提案を行う時のポイント】
1、まずは身近の人と共感する
2、ただの愚痴にならないように注意する
3、できるだけ多くの声を集める
4、「患者さんのために」が最強ワード

これらの手順を守る事で今の職場の環境を改善できる可能性は高くなります。

 

ただし、必要以上に時間や労力をかけて提案をする事で自分自身が病んでしまったり、言っても無駄な職場だと気付いた時には潔く職場を変えてしまう手段も検討しましょう。

幸いなことに訪問看護の需要増加に伴い人手不足なステーションも多いので、看護師の資格があればすぐに転職が決まる事も多いです。

しかも、最近では多くの転職サービスも展開されているので、選択肢が多いのも看護師にとって有利です。

 

まおつん
あまり無理をせずに、ダメだと思ったら転職も視野に入れましょう。

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