【訪問看護必見】令和4年度診療報酬改定に関する要望7つ

訪問看護師のまおつんです。

相談者
「令和4年度診療報酬改定に関する要望書」ってどんな事が書かれていますが?

今回は「日本訪問看護財団」「日本看護協会」「全国訪問看護事業協会」が連名になって厚生労働省の保険局長へ提出した「令和4年度診療報酬改定に関する要望書」の中身を見ながら、訪問看看護協会の役割について解説していきます。

訪問看護の現場で働く皆さんの要望がこれらの団体を通じて、確実に国の機関へ声として上がっているのでこれは非常に嬉しい事だと思っています。

各団体の公式ホームページのリンクを貼っておきますので、気になる方は覗いてみてください。

 

また、このブログでは訪問看護のリアルな仕事について情報を発信しています。もし興味があれば関連記事もご覧ください。

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令和4年度診療報酬改定に関する要望書について

この要望書は2021年7月14日に提出され、内容は以下の7つとなっています。

1、在宅医療の開始を支援する「退院支援指導加算」の更なる評価
2、外来通院時に共同指導を行った場合の評価の新設
3、特別訪問看護指示書の2回交付対象者の拡大
4、訪問看護認定看護師・緩和ケア認定看護師が配置され、質の高い看取り体制を強化した場合の評価の新設
5、訪問看護情報提供療養費2「学校への情報提供療養費」の算定要件緩和
6、看護職員同士の複数名訪問看護加算による支援の強化
7、訪問看護指示書に係る訪問看護ステーションの業務負担軽減
これらの具体的な要望が提出されたので、一つずつ噛み砕いて解説していきます。
要望書の本文を見たい方は『リンク先』から確認出来るようになっています。
まおつん
現場の訪問看護師の声が反映された要望内容になっています。
1、在宅医療の開始を支援する「退院支援指導加算」の更なる評価

そもそも「退院支援指導加算」とは、退院時に訪問が必要な患者さんの自宅へ訪問をして仕事をした時に加算する事が出来る点数です。

現在は、6,000円の加算になりますが、今回の要望書ではこの加算金額を増やして欲しいという要望が書かれています。

退院当日は患者さんのアセスメントやADLなどを確認しなければいけなかったり、療養環境の整備や患者さん本人やご家族への説明などとかなり大変な業務となります。

それに対して現在の加算では割に合わないという事が現場で起きているため要望として出されています。

 

ADLやアセスメントについて関連記事で紹介しているので、合わせてご確認ください。

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2、外来通院時に共同指導を行った場合の評価の新設

訪問看護を利用している患者さんが病院などで外来を受ける時には訪問看護師が同行する事もありましたが、これについても評価をして加算して欲しいという要望です。

訪問看護は、文字にある通り患者さんの自宅へ訪問してケアをするのが原則なので、通院時の同行など自宅外での業務は請求が出来ない場合もあります。

訪問看護師が外来の受診に同行ができれば、受け入れる病院にとっても看護師からの正確な情報を得る事ができ、私たち訪問看護師もお医者さんから直接お話を聞けるので、お互いにとってメリットの多いはずです。

この要望が実現する事によって、訪問看護ステーションと医療機関との連携がより強くなるという事も期待できます。

 

3、特別訪問看護指示書の2回交付対象者の拡大

「気管カニューレを使用している状態にある患者」や「真皮を越える褥瘡の状態にある患者」など一定の条件を満たした患者さんに対して、月に2回だけ交付する事が出来る『特別訪問看護指示書』ですが、この要件をもっと緩和して欲しいという要望です。

この条件が緩和されると、十分なケアが必要な患者さんに必要なケアをする事が出来るようになるので、訪問看護を利用する方に大きなメリットが生まれます。

要望書に書かれている内容としては、現行の気管カニューレや真皮を越える褥瘡以外に、ターミナル期にある患者さんや難治性潰傷がある患者さんにも特別訪問看護指示書を2回交付できるように条件を緩和するように書かれています。

 

4、訪問看護認定看護師・緩和ケア認定看護師が配置され、質の高い看取り体制を強化した場合の評価の新設

訪問看護ステーションの中で、訪問看護認定看護師や緩和ケア認定看護師を配置しているステーションはもっと評価して欲し加算して欲しいという要望です。

今後は少子高齢化で看取りをする訪問看護師の需要も増加していくので、時代の背景に合わせた制度を新設して欲しいという事のようです。

この制度が実現すれば訪問看護ステーションでも看取りなどを専門的に行う看護師を配置する事ができて、かつそのための求人も活発になるので、看護師にとっても就職が有利になるかも知れません。

 

5、訪問看護情報提供療養費2「学校への情報提供療養費」の算定要件緩和

もともと「訪問看護情報提供医療費2」とは、訪問看護ステーションと学校などとの連携を強化するために設けられている制度です。

学校から訪問看護ステーションへ利用者の情報を求められたときに、利用者や家族の同意を得て、訪問看護を行った日から2週間以内に小学校や中学校、特別支援学校などの入学・転学時に、訪問看護の状況を示す文書を添えて必要な情報を提供した場合に加算する事ができます。

現行では1年に1回だけ、一定の要件を満たした場合にしか加算することが出来ませんが、これをもっと緩和して欲しいという要望になっています。

具体的な加算回数についての要望は書かれてありませんでしたが、緩和されることによって回数が増えたり加算金額が増えたりすることが期待できます。

 

6、看護職員同士の複数名訪問看護加算による支援の強化

現行は訪問看看護師が複数で訪問してケアした時は週1回のみ加算が出来るようになっていますが、重症の患者さんのケアは複数で訪問して手厚いケアが必要になるので加算できる回数を週3回までに増やして欲しいという要望です。

訪問看護は基本的にひとりで訪問してケアをしますが、重症の患者さんへは複数で対応することも必要なため、週1回だけしか加算できないというのは厳しいという声が現場から上がっています。

 

7、訪問看護指示書に係る訪問看護ステーションの業務負担軽減
現行の制度では、「訪問看護指示書」を交付するとき、交付した医療機関は3,000円の加算が出来るようになっていますが、訪問看護ステーションがこの指示書を医療機関に送付する時には訪問看護ステーションがその郵送料を負担しているという現状があります。
つまり指示書の発行して加算が出来るのは病なのに対して、加算が出来ない訪問看護ステーション側が郵送の手間や郵送費などを負担している場合が多いという事です。
これを是正するために要望書には業務負担軽減のための要望が書かれています。
また、これらの指示書や報告書についても原紙の郵送ではなく、メールなどでデータとして共有が出来るようにして欲しいなどの要望が出されています。
電子データのやり取りによって事務作業が可能になれば、業務が効率化できるようになるほかに、郵送費などの費用も削減することができます。
まおつん
要望書の本文を見たい方は『リンク先』から確認出来るようになっていますよ。
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まとめ

今回は「令和4年度診療報酬改定に関する要望書」についての概要を解説してきました。

まだ要望を出したという段階なので、これが実現するかどうかは分かりませんが、現場の声が確実に国に届いているというのは訪問看護にとっても追い風になります。

今回の要望は点数の加算の緩和や要件の変更に関する事が多いので、現場の看護師にとってはまだそこまで影響はないと思われますが、これらの要望が通ると訪問看護ステーションの経営がしやすくなり最終的には訪問看護師の給料が上がったり、待遇が改善されるなどの効果が期待できます。

 

現役で訪問看護のお仕事をされている方は現場の声をもっと国に届けるために、意見や要望はどんどん出していくようにしましょう。

まおつん
日頃から感じている「あれ?何か変だな」という違和感や疑問を大事にしましょう。

また、訪問看護師は今後とも需要がさらに拡大すると見込まれているので、この時代の流れに乗って訪問看護への入職を検討してみてはいかがでしょうか?

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