看護学生は早いうちに「カンファレンス」を極めよ!

訪問看護師のまおつんです。

相談者
カンファレンスの実習が苦痛です。
何かいい方法があれば教えてください。

看護学生の皆さんの中には「カンファレンスの実習が絶望的に苦手」という人もいると思います。

今回はそんな学生さんを救うべく、カンファレンスの基礎とカンファレンスを成功させる方法について解説します。

もちろん、現役で働いている看護師にとってもすぐに活用できる方法を解説するので、ぜひ最後まで見ていただけると幸いです。

 

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カンファレンスとは

そもそもカンファレンスとは、「会議」「打ち合わせ」などという意味があります。

一般的な会社の場合は「ミーテイング」と呼びますが、医療の場合は「カンファレンス」というのが通例となっています。

 

カンファレンスの目的

カンファレンスの目的は、あるテーマを決めて、参加者全員で議論をして結論を出すことです。

普段の仕事などで困っていることや課題を決めて、それに対して参加者で意見を言い合い、最終的にひとつの方向性や今後やるべきことを決めるのが最終的なゴールです。

その他、職場などで情報共有をしたい情報があるときなんかも、カンファレンスを開催して行われることがあります。

 

どんなカンファレンスにおいても『必ず目的がある』ということを忘れないようにしましょう。

時々、特に議題がなくても定例カンファレンスなどと称して開催する職場があります。

議題がないのに集まってカンファレンスを行う意味はほとんどありません。

 

なぜカンファレンスが必要なのか

カンファレンスがなぜ必要かというと、看護師の悩みを全員で共有して解決策を考えたり、行き詰った課題などを解決してより良いサービスの提供を目指していくためです。

様々な経験を持った看護師や医療関係者が集まることで、意見を出し合い解決方法を考えることや、失敗例やインシデントの事例から自分の学びにする効果も期待できます。

他の誰かが困った経験は、いずれ自分も遭遇する可能性があるため、カンファレンスには積極的に参加して話を聞くようにしてください。

もちろん、自分の意見や失敗事例なども紹介するなど、コミュニケーションを取りながら進めていくことが重要です。

 

カンファレンスの参加者

カンファレンスは、目的に応じて看護師だけでなく責任者や担当医が参加することもあります。

また、多職種との情報共有もある場合は、ケアマネジャーやヘルパー、作業療法士や医学療法士が参加するカンファレンスもあります。

 

訪問看護ステーションで一番多いカンファレンスは、担当看護師と責任者で行わるカンファレンスです。

『〇〇がいなければカンファレンスができない』という縛りはなく、課題を持っている人とそれを解決できる人たちが集まって議論ができればカンファレンスはできます。

 

カンファレンスで話し合うこと

カンファレンスは職場の課題や悩み事を共有するのが目的です。

具体的な議題は以下のようなものが多いです。

・患者さんに入浴の重要性をどのように理解してもらうか
・採血がうまく出来なかったけどどうしたら良いか
・看護計画が適切かどうかを話し合いたい
・患者さんからのクレームにどう対応したら良いか
・職場に電子カルテを導入したい
このようにカンファレンスでは、必ずこのようにテーマを設定しなさいという決まりはなく、普段の仕事で困ったことや悩んでいる事について何でもテーマにして話し合います。
まおつん
テーマ決めに悩む看護学生さんが多いようですが、「身近な困りごと」を意識して決めればOKですよ。

カンファレンスのテーマの良い例と悪い例

カンファレンスは基本的にどんな事でも話し合っても良いと言いましたが、テーマ決めには注意する必要があります。
テーマを決める時に、良い例と悪い例を下に出しておきました。
【カンファレンスの良いテーマ例】
・患者さんに服薬管理の大切さをどう説明するか
・インシデントに繋がる「ヒヤリ・ハット」を防ぐためにはどうしたら良いか
・看護計画についてさらに良くするためにはどうしたら良いか
【カンファレンスの悪いテーマ例】
・患者さんに薬をちゃんと飲んでもらうためにどうするか
・「ヒヤリ・ハット」を起こした人にどのように指導するか
・看護計画をみんなで作りたい
良いテーマと悪いテーマの例を見てもらうと分かることがあります。
それは、良いテーマは、焦点が「患者さん」や「課題」に当てられていることです。
服薬管理を例に挙げると分かりやすいです。
良い例では、患者さんのために看護師がどのように説明して理解してもらうかがポイントになっています。
その一方で、悪い例では「看護師の都合」によってテーマが決められています。
この場合、患者さんがきちんと薬を飲んでくれないと看護師が困るという視点になっていることがマイナスポイントです。
「飲んでもらうためにどうするか」と上から目線になっているため、患者さんの健康を思って決めたテーマとはいえません。
また、「ヒヤリ・ハット」については、良い例では「起こってしまった問題」をどのように防ぐかということがテーマですが、悪い例では「問題を起こした人」に焦点を当てているため、良いテーマとはいえません。
本来は、問題を起こさないためにどうするか話し合うべきですが、悪い例では問題を起こした人を責めるようなテーマになってしまっています。
看護計画をテーマに設定する場合については、良い例では「さらに良くするために話し合う」ことがテーマのポイントです。
悪い例では、看護計画を作るための素案すらないため、井戸端会議になりやすいテーマといえます。
看護計画を作るのが目的ならば、まずは自分が事前に考えた案を持ってカンファレンスに臨むのが常識です。
良いカンファレンスを行うために「なぜなぜ分析」の活用についてまとめた関連記事を合わせてご確認ください。
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最強のカンファレンスの進め方

ここからは、最強のカンファレンスを行うために手順を追ってひとつずつ解説していきます。

特にカンファレンスの実習が苦手という看護学生さんは、しっかり目を通して実習に役立ててください。

 

カンファレンスに参加する前に…

カンファレンスに参加するには、参加するための『資格』が必要です。

資格といっても看護師資格などではなく、参加者が最低限満たしている条件のことです。

【カンファレンスに参加する資格】
・自分の意見を持っていること

・他人の意見を最後まで聴くことができること
・他人の意見を否定しないこと

・相手と議論ができること

カンファレンスは自分の意見を言いつつ、相手の話を聞いてそれに応えるというプロセスがとても重要です。

相手の話を真剣に聞くあまり、沈黙になってしまってはいけませんし、逆に「何か意見を言わなければ」と自分のことばかり言うのも良くありません。

会話のキャッチボールを意識して進めることを念頭においておきましょう。

 

カンファレンス参加者の役割

カンファレンスは30分~1時間程度で行われるのが一般的ですが、参加者には大きく分けて「ファシリテーター(司会進行役)」「発表者」「書記」などに分かれます。

それぞれの役割を正しく理解してカンファレンスに参加しないと、参加者が好き勝手に話し出してまとまりがなくなったり、最後の結論が出なくなったりします。

ファシリテーターは、カンファレンスの主な進行役です。

それ以外の役割として、所々で参加者に質問をしたりしてカンファレンスを盛り上げることも重要な役目です。

 

後でも説明しますが、

「なぜそのように思いましたか?」

「○○とは具体的にどのような事ですか?」

「◇◇さんはどのように思いますか?」

など、質問をして話を広げたり、他の人に振ったりする役目があります。

また、カンファレンスの最後には結論をまとめたり、責任者に報告するのもファシリテーターの役目です。

 

発表者は、看護ケアの課題や事例を紹介する役割があります。

ファシリテーターとの違いを正しく理解していない方も多いようですが、発表者はファシリテーターから

「それでは、○○さん、現状の課題について共有をお願いします。」

などと話を振られてから、

「前回、私が患者さんのケアをしている時に□□というトラブルが発生しました。」

など、事例などを紹介する役割があります。

 

書記は、誰がどんな意見を言ったか、どんな結論が出たかを記録する役割があります。

書記の難しいところは、意見を全てそのまま記録するのではなく、ポイントをおさえて記録を残すという点です。

例えば、参加者から

「患者さんとはまだ信頼関係がそこまでできていないため、まずはお互いを知るために自己紹介をしてみては良いと思います。」

という意見が出た時には、

「信頼関係を築くために自己紹介をしてみる」

などと、要点を簡潔にまとめて文章にするのがコツです。

 

カンファレンス全体の流れ

カンファレンスには「流れ」があります。

ファシリテーターはこの流れをおさえて司会進行することが求められるので、まずはカンファレンスの全体の流れについて理解しましょう。

カンファレンスは、ファシリテーターによってはじめの挨拶が行われてから開始します。

挨拶といっても、

「それではカンファレンスを開始します。今日のテーマは○○についてです。」

など簡単な言葉をかけるだけです。

 

その後、ファシリテーターから

「それでは今日の課題について、△△さんから共有をお願いします。」

と話を振られてから発表者が話をはじめます。

カンファレンスは事前に決めたテーマに沿って話を進めますが、発表者が課題を共有したあと、ファシリテーターによって

「では、この課題について意見をある人はいますか?」

「○○さん、ご意見があればお願いします。」

などと話を振って議論がスタートします。

 

ここでのファシリテーターの役割は、参加者から

「○○をした方が良いと思います。」という意見があった時に、

「それはこういう事ですか?」

「なぜそのように思いましたか?」

などと参加者に質問をします。

 

ここで意見がでない場合は、「私は□□だと考えています。と自分の意見を言っても良いでしょう。

ファシリテーターは意見が落ち着いたところで、カンファレンスをまとめます。

最終的にどんな結論が出たのかということを責任者に報告するために重要な作業となります。

 

カンファレンスの結論を責任者に報告するのは誰がやっても良いですが、一般的にはファシリテーターが行う事が多いです。

報告する時のポイントとしては、「○○という課題に対して、△△という結論が出ました。」と結論を先に報告することです。

結論を言ったあとは、そこに至るまでの議論の過程を発表するようにすると、非常に聞きやすい報告になります。

 

カンファレンスのファシリテーターの重要な役目

カンファレンスにおいて一番重要な役割を担っているのは、間違いなくファシリテーターです。
司会進行だけでなく、参加者に話を振ったり、結論をまとめたりする重要な役割があります。

 

ファシリテーターは得意不得意があり「私には向いていない」と思う方も多いと思いますが、はっきり言ってファシリテーターは慣れです。
慣れればきっと誰でもできるようになるはずです。

 

特に看護学生の方は、苦手意識を持たずにファシリテーターにどんどんチャレンジして欲しいと思います。

 

最強のカンファレンスは「根回し」

ここまででカンファレンスの全体的な進め方を解説してきましたが、最強のカンファレンスを行うためにもうひとつ必要なことは「根回し」です。

カンファレンスの参加者には、事前に

「こういう話を振るので、こう答えてください。」

「こういう結論に持っていきたいので、そのように話を進めます。」

などと、簡単な打ちあわせをしておきます。

 

つまり、結論ありきで参加者と話を通しておき、予定調和に進めることで結論を出し、最後に責任者に報告するという方法があります。

事前に話を合わせておけば、カンファレンス本番で答えにくい質問が出たり、予定しない方向に話が進むことも少なくなります。

まおつん
仲の良い友達や同僚と事前に話を合わせておけばスムーズにいくことがありますよ。
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カンファレンスでこんな時はどうする?

カンファレンスの流れを理解し、いざ実践しようと思っても予期せぬトラブルに遭遇します。

カンファレンスで起こりがちな「こんな時はどうする?」という例を紹介して、その対処法についても解説していきます。

・テーマが決まらない
・沈黙がつづく&意見が出ない
・意見が食い違う
・話がまとまらない
・結論が出ない

上の例はカンファレンス(実習も含む)の場で良く起こりえることです。

これらの例と対処法についてみていきましょう。

 

テーマが決まらない

テーマを決めるのに苦労する方は多いようです。

ずばり、テーマを決める時のポイントは「困りごと」です。

「どんな時にどのようなことで困ったか」という例をいくつか出して、それを軸に全員で議論ができるようなテーマを決めていくとうまくいきます。

患者さんへの対応方法やケアがうまくいかなかった時など、看護師であれば困ったことはたくさんあると思います。

 

沈黙がつづく&意見が出ない

カンファレンスでは参加者全員から率直な意見を聞いて、結論をまとめていくのが普通のやり方ですが、誰も意見を言わずに沈黙状態になることがあります。

おそらく参加者は

「こんな初歩的なことを言っても良いのかな?」

「自分の失敗談を話すのは恥ずかしい」

と不安に思っているはずです。

 

そんな時には、ファシリテーターから率先して

「私は○○だと考えています。」

と自分の意見を言うことが一番の方法です。

 

ファシリテーター上級者になると

「実は私は◇◇という失敗を過去にしてしまいました。」

と自らの失敗談を話すことで、参加者の発言のハードルを下げることができます。

 

また、自分の意見を言った後に、参加者に

「○○さんは、これについてどう思いますか?」

と名指して質問してみると意見を言ってくれる場合がほとんどです。

 

参加者のなかには、実は自分の話を聞いてもらいたい人も多いはずです。

ファシリテーターでなくとも、自分の意見はどんどん言ってカンファレンスを盛り上げてください。

 

意見が食い違う

カンファレンスでは意見が食い違うことがあります。

そういう場合は、全員でテーマを再確認してみましょう。

例えば「職場全員のケア内容を平準化させるためにどうすれば良いか」がテーマだった時を考えてみましょう。

最終的な対策方法はいろいろな意見があります。

 

ひとつの意見として

「全員の看護記録を見て、やるべきこととやらなくてもいい事を一つずつ仕分けしていく。」

があったとします。

 

その一方では、

「患者さん一人ひとりの状態は違うので、自分で考えて対応するべきだと思う。」

などの否定的な意見もあると思います。

 

2つの意見はどちらも真っ当な意見なので正解はありません。

しかし、基本的な対策の方法が違っているので、このままでは結論をだすことは難しいです。

このような場合は、そもそもテーマについて全員が納得していないことが考えられます。

 

ここでテーマを再確認すると「ケア内容を平準化させる」というのがテーマなので、全ての看護師が同じレベルでケアが出来るということが目的となります。

「自分で考えて対応するべき」という意見は、論点が少しずれている意見だといえます。

子の場合、「テーマを再確認しましょう」と促してから、意見を言ってもらうと結論が統一されやすくなります。

 

話がまとまらない

カンファレンスで話がまとまらないこともよくあります。

意見が食い違う時と似ているケースですが、大きく違うことは、たくさん意見が出たのは良いけど締まりが悪いところです。

 

この場合は、ファシリテーターが

「○○さんの話をまとめるとこういうことですか?」

と、その意見を要約して話してあげることで議論がしやすくなります。

 

参加者によっては、前置きが長くて要点が掴めない話をずっとする人もいます。

そういう人に対しては

「それはつまり△△ということですか?」

などと、要点をピックアップして代弁してあげることです。

 

人の話をまとめるのは難しい技術ですし、ある程度の慣れが必要ですが、「つまりこういうこと」と要約して、全員に理解させてあげるとまとまりがあるカンファレンスにする事ができます。

要約は必ずしもファシリテーターがしてあげる必要はなく、参加者がファシリテーターの代わりに要約しても問題ありません。

 

結論が出ない

カンファレンスは多くの人数が集またりすると、意見はたくさん出たものの、結論を決める段階になってからはみなが沈黙するパターンがよくあります。

 

この場合には注意が必要で、

「結論はどうしましょうか?」

と参加者に尋ねないようにしてください。

 

そうではなくて、

「では、◇◇という結論でどうでしょうか?」

など、「はい」「いいえ」で答えられる質問をしてあげることがポイントです。

 

よっぽどの反論や異論がなければ、全員「はい」という答えになるはずなので、これで結論は出たことになります。

まおつん
カンファレンスの難しいところは、最後にまとめて結論を出すところです。
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まとめ

今回はカンファレンスについて、全体の流れや具体的な方法まで、できるだけ詳しく解説してきました。

特に看護学生の方はこれからカンファレンスを学習するのに役立てたかと思います。

 

カンファレンスは直接的な看護ケアではなく、会議をどのように進めるかという点が一番難しいところなので、苦手な学生さんも多いと思います。

ただ、現場に入るとかなりカンファレンスを行う機会が増えるので、今のうちにマスターして実践出来るようにしておいて損はありません。

まおつん
カンファレンスが苦手な人でも、慣れれば絶対にできるようになりますので頑張ってください。
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