訪問看護師のまおつんです。
具体的にどんなことをすれば良いですか?
現役の看護師は「リスクマネジメント」という言葉を聞く機会が多いのではないでしょうか?
訪問看護ステーションの管理者や責任者であれば、リスクマネジメントについて理解し職場で実践することを求められます。
とはいっても、正確に理解している人は少ないように思います。
今回はそんな方のために、訪問看護におけるリスクマネジメントについて詳しく解説します。
このブログでは訪問看護のリアルな仕事について情報を発信しています。もし興味があれば関連記事もご覧ください。
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訪問看護のリスクマネジメントとは
訪問看護の現場では、インシデント、交通事故、患者さんやご家族からのクレームなど、様々なリスクがあります。
リスクマネジメントとは、これらのリスクにおいて
『リスクをどうやって予防するか』
『起きてしまったリスクにどう対応するか』
などを事前に予知・予防し、あらかじめ対策を考えておくことをいいます。
起こりえる危機・危険(リスク)を把握し、管理(マネジメント)することから「リスクマネジメント」といわれます。
リスクはゼロにできない
交通事故の例が一番分かりやすいですが、車を運転しているときに自分に全く非がなかったとしても事故にあうことがあります。
いくら予防してたとはいえ、誰しもがいつかは事故にあうかも知れません。
このように、どんなリスクであれ発生する確率をゼロにすることはできません。
リスクマネジメントにおいて需要なことは、このリスクを承知のうえで予防したり、対策を考えることなのです。
リスクマネジメントと「ヒヤリハット」
リスクマネジメントを考える上で欠かせない言葉に「ヒヤリハット」があります。
これは、実際にインシデントや事故になっていないものであっても、一歩間違えば重大なミスになっていたという事例のことです。
例えば、車を運転していて見通しが悪い交差点で曲がろとした時、資格から急に人が飛び出してきて接触しそうになった場合です。
事故にはなってなくても、たったひとつ判断を間違えていれば事故になっているような「ヒヤり」とする場面や、「ハッと」するした経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
リスクマネジメントにおいては、事故につながるかもしれない「ヒヤリハット」の事例の中に大きなリスクが存在していると考えて予防し対策を練ります。
リスクマネジメントの難しいところは、「気を付けて運転してください」とただ注意喚起するだけではなく、そもそも交通事故を起こさないような仕組みをつくることです。
ヒヤリハットからリスクマネジメントを考える時に有効なのが「なぜなぜ分析が」です。
詳細は関連記事でも解説しているので合わせて確認してください。
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訪問看護のリスクマネジメント
訪問看護におけるリスクの種類とその対処法について解説します。
・インシデント
・交通事故
・災害
・感染
・クレーム
・ハラスメント
インシデントのリスクマネジメント
どんなに注意していてもヒューマンエラーなどによりインシデントは発生するリスクがあります。
インシデントを予防するためにはマニュアルに従って正しく作業をすることが何よりですが、忙しかったり焦っていたりすると、つい油断してしまいインシデントが発生する可能性がぐっと高まります。
インシデントが起きてしまった場合、すぐにステーションと情報共有することです。
自分のミスや失敗を誰かに報告することは大変勇気がいります。
しかし、情報の共有が遅れたためにもっと大きな事故やアクシデントにつながる可能性もあります。
報告が遅れたためにもっと多くの人に迷惑を掛けることにもなり、最終的には患者さんからの信頼を失うことになります。
そうなった場合、自分ひとりで責任を負えなくなることもあるので、インシデントの共有はすぐに行うようにしましょう。
失敗は誰にでもあります。
その経験を活かして、次は失敗しないように成長し続けられるのがリスクマネジメントのできる看護師です。
交通事故のリスクマネジメント
訪問看護ステーションの看護師は、自分で車か自転車を運転して患者さんの家に訪問しケアすることになります。
この時に考えなければならないのが交通事故のリスクです。
どんなに自分が注意して運転していても事故に巻き込まれる可能性はゼロではありません。
交通事故のリスクマネジメントで重要なことは、事故を防止するための運転技術を磨く事です。
運転の良し悪しやクセは自分で気付くことが難しいので、管理者や先輩など第三改善するのが良いでしょう。
また、万が一事故を起こしてしまった場合や巻き込まれた場合の対応マニュアルを日頃からステーションで共有しておく事も重要です。
事故にあってしまった場合、示談には決して応じることはせず、まずは警察と保険会社に連絡するのが先です。
怪我人がいる場合は救急車を必ず呼びます。
その後、ステーションにも連絡をいれます。
私の個人的な主観ですが、看護師は運転が苦手な方が多いです。
そのうえ、地域によっては住宅街の道路が狭かったり、患者さんの自宅に駐車スペースがない場合もあるので、事故のリスクがさらに高まることもあります。
訪問看護師は、常に自分の運転のしかたを見つめ直しておくことはもちろん、いざという時にどのような対応をすべきか常に頭に入れて行動するようにしましょう。
災害のリスクマネジメント
仕事中はどんな自然災害に遭遇するかは分かりません。
日本では災害大国といわれているくらい、地震や津波が頻繁に発生しています。
また、災害にはウイルスの感染拡大やテロ行為なども当てはまります。
万が一、これらの災害にあったときでも被害を最小限にし、事業を継続したり短期間で復旧できるような方針・体制・手順などのマニュアルが各ステーションで定められています。
このようなマニュアルの事を「事業継続計画(BCP:Business Continuity Planning)」といいます。
自分の働いている職場のBCPを確認しておく事が重要です。
BCP策定については、2021年4月から介護施設・事業所では義務化がされているため、それなりに大きい規模の訪問看護ステーションであれば、まず策定されているはずです。
もし、BCPが策定されていないようであれば、責任者や管理者に策定するように提案してみるのも良いでしょう。
感染のリスクマネジメント
看護師という職業上、様々な感染リスクにさらされている事から、普段の生活から何かと気を付けている方も多いと思います。
感染のリスクマネジメントにおいては、「標準予防策(スタンダードプレコーション)」を理解し徹底して実践することです。
1、手指衛生
2、個人防護具(PPE)
3、呼吸器衛生・咳エチケット
4、患者の配置
5、患者ケアに使用した器具
6、環境の維持・管理
7、リネン類の取扱い
8、安全な注射手技
9、腰椎穿刺時の感染予防策
10、血液感染性病原体への曝露から医療従事者の保護
※アメリカ疾病管理予防センター『医療現場における隔離予防のためのガイドライン』から参照
患者さんの血液や体液、分泌物、排泄物、粘膜、創傷のある皮膚などは「温性生体物質」として扱い、感染症の原因となる微生物を含んでいる可能性がある事を理解しておきましょう。
もちろん感染症にかかっていない人であっても同様とみなし、全ての人に対して予防策は必要です。
これらを実施することで感染予防のリスクをかなり回避する事が出来るので、リスクマネジメントを理解する上で重要な項目になっています。
クレームのリスクマネジメント
クレームに関してもリスクマネジメントにおいては重要な要素として考えておかなければなりません。
クレームは真摯になって患者さんやご家族の話を聴いて対応する必要があります。
クレームは、私たちの仕事のやり方を大きく改善できる貴重なチャンスにもなりますが、場合によってはステーションの信頼に関わる重大なクレームに発展するケースもあります。
そのため、クレームについてはリスクとして捉えて考えなくてはなりません。
クレームには、明らかにステーション側に非がある場合だけでなく、言いがかり的なクレームも存在します。
そのような理不尽なクレームであっても、相手を否定せずに何を要求しているのかを明確にして対応に当たる必要があります。
経営者からすると、ステーション側に非がないクレームに割く労力や時間は出来るだけ減らしたいものです。
そのため、ステーションと利用者さんが契約を結ぶ時には、説明の仕方に工夫をしたり、内容をひとつずつ確認しながらすすめていくことになります。
それでもお互いの勘違いなどからクレームが発生する場合があります。
寄せられたクレームの情報は、ステーションなどで共有しどのように対応すべきかの方針をまとめておくのがリスクマネジメントになります。
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ハラスメントのリスクマネジメント
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まとめ
今回は訪問看護においてのリスクマネジメントについて解説しました。
「当たり前のこと」と思った方もいるかも知れませんが、職場で周知徹底できていることが少ない項目ばかりです。
リスクマネジメントの基本は「予知・予防・対策」です。
訪問看護ステーションで起こりえるリスクについて、正しく備えて対処すれば防げるリスクもかなりあります。
訪問看護の管理者や責任者の方は特に重点をおいてリスクマネジメントを実施するようにしましょう。
訪問看護に興味があれば関連記事もご確認ください。
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