訪問看護師のまおつんです。
今回は、訪問看護においての栄養状態のアセスメントについて、具体的な方法などを解説していきます。
このブログでは訪問看護についてのリアルな情報を発信しています。
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- 1 栄養状態のアセスメントとは
- 2 栄養状態のアセスメントで使うツール
- 2.0.0.1 MNA (Mini Nutritional Assessment)
- 2.0.0.2 SGA (Subjective Global Assessment)
- 2.0.0.3 PG-SGA (Patient Generated-SGA)
- 2.0.0.4 ODA (Objective Data Assessment)
- 2.0.0.5 GNRI (Geriatric Nutritional Risk Index)
- 2.0.0.6 MUST (Malnutrition Universal Screening Tool)
- 2.0.0.7 MST (Malnutrition Screening Tool)
- 2.0.0.8 NRS2002 (Nutritional Risk Screening-2002)
- 3 栄養状態のアセスメントを行うためのコツ
- 4 こんな時はどうしたら良い?
- 5 まとめ
栄養状態のアセスメントとは
『栄養状態のアセスメント』は、患者さんの食習慣や栄養状態に問題がないかを診断をすることです。
『食』は生きていくためには絶対に必要な要素であり、私たちの日常に深く関連しています。
在宅医療の患者さんにとっては、入院している時と違い食べる物や量は本人やご家族の判断によってほぼ依存しています。
そのため栄養が偏ったりすることも多く、看護師が栄養状態を正しく判断してあげる事が重要になります。
栄養状態のアセスメントで確認すること
栄養状態のアセスメントの診断方法としては、以下のポイントを確認したり測定して行うのが一般的です。
・食事の内容と摂取量
・排便の性状や頻度
・体重の変化
・摂取エネルギー
・血液や尿の検査
もっと細かく確認することもありますが、訪問看護の現場では上記の内容が多いです。
食事に対する考え方
食事に対する考え方は患者さんによって様々です。
入院中であれは病院で出されたものを食べるしか選択肢がありませんが、在宅医療を受ける患者さんは特に制限されていなければ好きな物を食べることができます。
そのため、
「野菜や果物は食べたくない」
「お菓子が大好き」
「お酒が大好き」
という方は結構いらっしゃいます。
訪問看護のメリットは、自宅で安心して医療を受けられることなので、患者さんの考え方を無下に否定しないようにしたいものです。
本人の希望を尊重してあげる事も担当看護師の重要な役割といえます。
栄養状態のアセスメントで使うツール
栄養アセスメントを行う時に使う代表的なツールについて紹介しておきます。
上記は代表的なツールですが、訪問看護師は使うことが少ないので「こういうモノがあるのか」くらいに知っておけば大丈夫です。
MNA (Mini Nutritional Assessment)
MNAは高齢者の方を対象に開発されたツールです。
次に出てくるSGAの診断項目に加え、身体機能・BMI値・疾患によるストレスなどの項目を評価し健康状態を診断します。
SGA (Subjective Global Assessment)
SGAは「主観的包括的評価」ともいい、特殊な器具や装置を使わずに健康状態を診断することができるツールです。
栄養状態のアセスメントにおいて、非常に一般的なツールとして使われます。
「体重の変化」「食事摂取の変化」「消化器症状」「身体機能」「疾患と栄養必要量の関係」「身体測定」
の6つで構成されているシンプルな構造になっています。
手間や時間がそこまで掛からないので、手軽に行う事ができることがメリットです。
PG-SGA (Patient Generated-SGA)
PG-SGAは、SGAよりもがんの方に向けて開発されたツールです。
SGAの項目に加え、消化器症状に関する項目が追加されていることなどが特徴です。
ODA (Objective Data Assessment)
ODAは身体測定値に加えて、血液検査や尿検査などの生化学的検査値を使ったツールです。
特殊な機器などを使用するので検査に時間がかかりますが、客観的なデータをもとに診断出来ることがメリットです。
GNRI (Geriatric Nutritional Risk Index)
GNRIは高齢者向けに開発されたツールです。
現在の体重と理想の体重を測定したり、血清アルブミン値を使って栄養評価をします。
血清中のたんぱく質の濃度を測る数値で、その低下で肝臓や腎臓の異常を調べることができます。
MUST (Malnutrition Universal Screening Tool)
MUSTは自宅療養している方や、急性期の方のために使われる事が多いです。
急性疾患のありなしを確認するための項目が含まれていることが特徴のツールです。
MST (Malnutrition Screening Tool)
MSTは、SGAと同様に診断が手軽に出来ることが特徴です。
体重の変化と食事に関する項目だけを診断するだけとなっており、非常にシンプルなツールといえます。
NRS2002 (Nutritional Risk Screening-2002)
栄養状態のアセスメントを行うためのコツ
栄養状態のアセスメントの中でも、特に食事に関して診断を行うためのコツについて解説します。
食事の内容を確認する
『栄養』と『食事』は、切っても切れないくらい深い関係にあります。
そこで栄養状態のアセスメントでは、患者さんが普段どんな食事をしているかという点を把握しておく事が重要となります。
「今日は何を食べましたか?」
「どのくらい食べましたか?」
などの質問をしながら確認をしていきます。
食事の内容や量は覚えていない方も多いので、1週間分の食事の記録してもらうようにご家族にお願いをしておくなどの工夫をしましょう。
また、記録が難しい場合は写真を撮ってもらうようにしておくと良いでしょう。
栄養バランスを確認する
食事については「食べれば良い」というわけにはいかず、栄養バランスを考えることも重要です。
病院食とは違い、患者さんの趣向に合わせた食事が多くなりがちなので、ご家族と相談しながら献立を考える必要があります。
上記の代表的な4大食品群をバランスよく摂取できるような工夫をしましょう。
ちなみに、食品群は通常6つの群があると言われますが、ここでは簡素化して4群にまとめています。
最近では減塩醬油やカット野菜などの便利な食材もスーパーなどに揃っているので、困ることはあまり無いと思います。
あとは患者さんの意向を聞きながら栄養バランスの良い食事を心がけてまらうようにしましょう。
患者さんに合わせた食事のアドバイスも合わせて行いましょう。
こんな時はどうしたら良い?
栄養状態のアセスメントを行う時に「こんな時はどうしたら良い?」という壁にぶつかる時もあります。
・サルコペニアが疑われる場合
・認知症で食事した事を忘れてしまう場合
・体重の測定が難しい場合
これらの状況の時のどうしたら良いのかを解説していきます。
サルコペニアが疑われる場合
加齢などによってサルコペニアが疑われる場合は、「ゆび輪っかテスト」でサルコペニアかどうかを簡単に確認することができます。
加齢などによって全身の筋肉量と筋力が自然的に低下することで、身体の能力が低下した状態のことを言います。
別名「加齢性筋肉減弱現象」とも呼ばれています。
筋力低下によって 歩く速度が低下し、着替えや入浴など日常生活が難しくなるケースもあります。
確認方法は、両手の人差し指と親指で輪っかを作り、ふくらはぎの一番太い部分を囲むようにします。
その時に、輪っかとふくらはぎとの間にスキマができればサルコペニアの可能性があります。
『エーザイの肝疾患サポートサポート』というサイトで分かりやすい図解を使って解説してあるので参考にしてください。
認知症で食事した事を忘れてしまう場合
認知症の患者さんの場合は、食事をしたことを忘れてしまい、
「ご飯はまだですか?」
などと何度も聞いてくる事があります。
そんな時には、
「いまから作るので、これを飲んで待っていてくださいね。」
「出来上がるまで時間が掛かるので、これをやっててください。」
などと他のことに気をそらすようにし、少しずつ話題を変えていくようにしましょう。
体重の測定が難しい場合
寝たきりの患者さんの場合は体重を測定するのが難しい場合があります。
そんな時には腹囲を測定して目安にする場合があります。
また、ご家族などが患者さんを背負って一緒に体重計に乗って測定する方法もあります。
この時、体重計には2人分の表示がされますが、
患者さんの体重 = 表示された体重 ー 背負っている人の体重
という計算で患者さんの体重を測定します。
まとめ
今回は栄養状態のアセスメントについてコツなどを解説してきました。
また、参考として診断に使えるツールなども簡単に紹介しました。
現場で活かすためには、しっかりと理解して実践することも重要です。
もし、訪問看護で使えるアイデアがあれば気軽にコメント欄で教えてください。
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