訪問看護ステーションの多くの問題は『ヒト・モノ・カネ』で何とかなる

訪問看護師のまおつんです。

相談者
訪問看護ステーションで働いていますが問題ばかりで解決の糸口が掴めません。

訪問看護ステーションでは様々な人が働いています。

またステーションで保有している様々な機械や医療器具などがあります。

 

そこで働く私たち訪問看護師は、いつも人間関係に悩んだり、人手不足でシフトが偏ったり、または必要な物資がなかったりで結局は患者さんにも迷惑を掛けたりで何かと問題が多いこともあります。

そこで、今回は訪問看護ステーションでの問題を『ヒト・モノ・カネ』に分解して攻略できるようなヒントをお伝えします。

 

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だいたいの問題は『ヒト・モノ・カネ』に分類できる

『人材不足で仕事がぜんぜん回らない。来月にはひとり退職しちゃうし…。』

『電子カルテが導入されていないので、いまだにペーパーワークが多い…。』

『訪問用に使う社用車が足りなくて訪問に行けない…。いま誰が使っているの?』

『新しい看護師に教育するマニュアルがなくて人材が育たない…。』

訪問看護ステーションにはこのような問題が山積みになっていることがあります。

 

果たして何から手を付けるべきか、そして訪問看護ステーションの管理者や経営者は何を見ているのか。

これらを考えると本当に頭が痛いですし、そもそも看護師が考えることじゃないと思うかも知れません。

 

じつは、これらの様々な問題は『ヒト・モノ・カネ』のいずれかに分類することができます。

今回お伝えしたい事は、『ヒト・モノ・カネ』を理解することで、どういうポイントで解決策の糸口をつかめるようになるということです。

このヒト・モノ・カネの考え方は、医療現場だけではなく、製造業や飲食業など世の中のありとあらゆる業種においても同じ考え方をするので、ここで知っておくと世間一般の知識を学ぶことができます。

 

また、看護師は自分が勤める訪問看護ステーションにある問題がヒト・モノ・カネのどれに当てはまるのか、じっくり考えてから解決策を検討していくことでどのようにアプローチしていけば良いかも分かるようになります。

まおつん
最近ではヒト・モノ・カネに加えて『情報』『時間』『知的財産』という要素を加えて語ることもありますがここでは割愛します。

 

ヒト・モノ・カネを理解するともっと職場は良くなる

訪問看護師は現場で働く一方で、毎日の業務で様々な課題にぶつかります。
たまに「もっとこういうケアが出来ればな~」や「こういう制度や仕組みがあればな~」と思うことがあると思います。

 

しかし、現実的には、ある問題を発見したとしても、なかなかすぐに解決できないのが難しいところです。
いち看護師の意見がすぐに反映されて改善されれば最高の職場ですが、経営者側からするとその意見が本当に効果があるのかなどをじっくり検証しなければなりません。
訪問看護ステーションは、利益を出してこそ長期的な運営ができるので、投資したヒト・モノ・カネに対してどれくらいのリターンがあるかという事を常に見極めないといけないので、ここが経営者の大きな悩みとなっているようです。
これを考えるのは私たち看護師ではなく経営者の仕事ですが、こういう時にこそ看護師もヒト・モノ・カネを理解することでまた違った提案ができるようになります。
また、看護師から何か提案するときにも、ヒト・モノ・カネの視点を理解しているかどうかで、提案を受け取る側の姿勢も大きく変わるはずです。

 

例えば、訪問看護師の教育不足という問題があったとすると、経営者としては本当はしっかりと時間とお金を掛けて行いたいというのが本音だと思います。
しかし、看護師の教育を行うにはそれなりのコストも発生します。

 

看護師を外部の研修会に参加させる場合には、研修費用はもちろんステーションが支払うことになりますし、その研修期間の人件費、つまり看護師の給料もステーションが負担することになります。
例えば、新しいケア内容を学ぶ研修会を看護師に受講させようと思った場合、将来的にどんなリターンが見込めるでしょうか。
参加させる費用が20,000円で1日コースの研修だった場合、研修費20,000円と看護師の給料を10,000円だとすると、だいたい30,000円程度のコストになります。
この看護師が他のステーションには出来ないケアができるようになれば、ステーションのサービス内容が充実してもっと高い利益を得られるなどと考えます。
もうひとつのリスクとしては、時間とコストを掛けてまで研修に参加させたにもかかわらず、その看護師がのちに退職してしまうリスクもあります。

 

このように常にリスクとリターンを考えて、課題に対して取り組んでいるのがステーションの経営者の仕事です。
上のケースほんの例ですが、「もっと看護師を雇って欲しい」「新しい機器を導入してほしい」という要望をするときには、その課題の重要度やリスクとリターンを見極めて提案をすることで職場がもっと良い方向に向かうはずです。

 

経営者・管理者は現場の課題に気付いていない

ヒト・モノ・カネの視点をそのステーションで働く誰もが理解していると、職場はより良くなるという解説をしてきましたが、経営者は意外と現場を見ているようで見えていないケースがよくあります。
以前、私も看護師の業務負担がある人ばかりに偏っていることについてステーションの経営者と話をしたときに、その経営者はシフト管理を管理者に任せていたため業務負担が偏っていることを把握していませんでした。

 

こういう場合においては経営者だけを責めるわけにはいかず、本来は管理者がシフトの状況などを把握して改善するべきところは改善するのが筋です。
経営者はもっと高い視点でステーションを見ているので、現場と経営者の目線がずれるのは当たり前のことなのです。
「上はぜんぜん現場を見ていない」
「何を言っても変わらない」
と、文句をいう看護師もいますが、これは現場側と経営者側が同じ視点(認識)で会話ができていないため、必然的に起こりえることだと思っています。

 

とはいっても、声をあげなければその課題は認識してもらえないので、まずは身近な管理者や上司に相談するのが解決の一番の近道といえます。
実は、現場の課題を伝えてくれたり、提案を持ってきてくれる看護師をありがたく思っている経営者も多くいます。
それは経営者としても目線が違うということは十分に分かっているからです。
まおつん
「分かってくれない!」と愚痴を言うのではなく、分かっていないことを前提として「じゃあどうやって伝えようか?」と考える方が建設的ですよね。

 

ヒト・モノ・カネの視点でまずは声をあげること

「人手が足りないからもっと人を雇ってくださいよ!」と声を出すことがまず大事です。

しかし、感情的になって声をあげるだけでは少し説得力に欠けているかも知れません。

 

先ほど解説したように、現場の看護師は『人手不足』という『ヒト』に紐づく問題だと思っていても、実は経営者から見たら人を雇うだけの『資金的な余裕がない』という『カネ』の問題だと視点が異なって解釈している場合があるからです。

このケースでは、看護師が思っている『ヒト』の問題と、経営者が考えている『カネ』の問題にズレが生じています。

 

経営者も人手不足については理解していても資金的な問題については、いち看護師がどうにかできる問題ではないかも知れません。

ただし、現場の声と経営者の課題をマッチさせていく事が、解決の糸口になりますので、まずは声をあげてみる勇気が大切です。

 

まとめ

今回は訪問看護ステーションの問題は『ヒト・モノ・カネ』の視点を持つと、問題の本質が見えてくるという解説をしました。

また、「聞いてくれない!」や「分かってくれない!」と嘆くのではなく、まずはヒト・モノ・カネを意識して「どうやって伝えようか?」と声をあげてみるのが解決策だというお話でした。

 

経営者と現場の看護師ではどうしても視点の差が生まれてしまいます。

そこをまずは理解し、ステーションの一員としてより良いづくりを目指してみてください。

 

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