訪問看護師が増えないのはなぜ?将来性について語る

訪問看護師のまおつんです。

相談者
訪問看護師はなぜ増えないんですか?魅力がないのでしょうか?

いえいえそんなことはありません。

訪問看護師は看護師のもうひとつの選択肢として私もおすすめしています。

しかし、どの訪問看護ステーションも「人が足りない…」と困っている現状があります。

今回はなぜ訪問看護師が増えないのか、わたしの意見を解説し、今後はどのように対処していけば良いかお話します。

 

このブログでは訪問看護のリアルな仕事について情報を発信しています。もし興味があれば関連記事もご覧ください。

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訪問看護師が増えない理由は?

訪問看護師が増加しない理由については以下の理由が考えられます。

【訪問看護師が増えない理由】
1、そもそも看護師自体が不足している
2、なかなか処遇が改善されない
3、仕事のハードルが高いと思われている

これらの原因について一つずつ解説していきます。

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1、そもそも看護師自体が不足している

日本では高齢化が進む中で、慢性疾患を抱える患者さんが増えています。

この高齢化によって慢性的な病気や障がいを抱える人が増え、そもそもの看護師の人手自体が不足しています。

 

もともと訪問看護師の数は、全看護師の中でも5%くらいしかいないといわれており、だいたい130万人程度しかいない貴重な存在です。

そもそもの看護師の人数が増えなければ訪問看護師も増えないのが理由です。

 

では、なぜ看護師が増えないのかというと、理由は色々とありますが、『3K』と言われているのが原因だと思います。

3Kとは、いわゆる『きつい』『きたない』『きけん』という意味があります。

また、3Kと言われるほど劣悪な環境で働いているにも関わらず、待遇が悪く割に合わないと思われているのが原因と考えられます。

 

2、なかなか処遇が改善されない

訪問看護師の給与は、一般の看護師と比べても『やや高め』といわれていますが、非常勤やパートの訪問看護師の処遇はなかなか改善されていないことが多いのが実態です。

さらに、訪問看護師は、患者さんの自宅や施設に出向いての業務が多いため、交通費や時間外勤務手当なども不足している場合があります。

 

実際には処遇改善に向けた取り組みは少しずつされているものの、まだまだ不足しているという現実があります。

そのため、訪問看護師の処遇が改善されないことによって、訪問看護師に対する魅力が低下していると言えます。

 

看護師が職場を選ぶとき、給料や福利厚生はもっとも重要なことです。

これが改善されなければ看護師の仕事の魅力を十分にアピールできないことになるでしょう。

 

3、仕事のハードルが高いと思われている

訪問看護師は、原則的に医師の指示にのもと患者さんのケアを行うので、やはり高度なスキルが求められます。

患者さんの自宅では、病院とは違って設備や環境面が整っていない場合も多く、また看護師が単独で訪問することなどハードルが高いのは事実です。

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これらの理由によって、多くの看護師は訪問看護ステーションに入職するためのハードルが高いと思っているのではないでしょうか。

そのため、新人看護師が訪問看護師として働き始めることは少なく、これも訪問看護師不足の原因の一つだと考えられます。

まおつん
最近は新卒で訪問看護師を募集するステーションも増えているみたいです。
それほど人材不足が深刻ということでしょうか…。

 

看護師の処遇に関するニュース

2023年3月に200施設の看護師たちが医労連に対して賃上げをするようにストライキを行ったとのニュースが話題になりました。

先日、共同通信が『春闘、看護師ら200施設でスト』というニュースを報道しました。

 

以下、ニュース本文を引用します。

“看護師らでつくる産業別労働組合「日本医労連」は9日、春闘での大幅な賃上げ実現のため、民間と公的医療機関の計200施設以上で組合役員を中心に少人数での短時間ストライキを行ったと発表した。

記者会見した森田進書記長は「3年あまり新型コロナウイルス禍で奮闘しているが全く賃上げされていない」と訴えた。

医労連によると、基本給を一律に引き上げるベースアップなど傘下労組の要求に十分な回答が得られなかったため、ストに踏み切った。多くが1時間程度だったという。

独立行政法人国立病院機構の運営病院では、2004年の機構発足以降で初の実施となった。”

このニュースから分かることについて語っていきます。

 

看護師の賃上げについて厚生労働省も重い腰を上げた

「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」として、2022年2月から看護師などの給料が上がっています。

これによって「給料が増えた」という人も多いのではないでしょうか。

個人的には、給料を上げることもそうですが、税金や社会保険料もなんとかしてほしいと思います。

額面の給料が増えても、その分引かれる税金も増えるので、給料が増えたという実感があまりないのが正直なところ。

 

とはいっても、厚生労働省が現場で働く看護師の給料について重い腰を上げたというのは良いことではあります。

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看護師の復職支援が拡がっている

看護師という資格があれば病院やクリニックなど多くの医療機関で働くことができます。

厚生労働省では、一度退職した看護師に対して、もう一度現場で働いてもらうための『復職支援』を実施しています。

 

看護師免許を持っているのにも関わらず、いまは働いていないという看護師は約3,000人も存在しているようです。(ナースセンターによる看護職員の復職支援の強化 – 厚生労働省のデータから引用

 

この事実をうけて、地元のハローワークとの連携を取りながら看護師の人材確保に取り組んでいます。

また、最近では訪問看護ステーションが新卒の採用も積極的に行っているという話も聞きます。

 

個人的な意見としては、地域と連携したり新卒を採用するのは良いことですが、やはり処遇の改善や働きやすい職場づくりにも注力して欲しいところです。

 

看護師の処遇改善は現場まかせになっている?

一般的な処遇改善の方法としては、

『給料を上げる』

『休みを増やす』

『福利厚生を充実させる』

が基本だと思っています。

 

わたし自身も看護師の処遇改善には大変興味があるので、政府から出されるいろいろな資料を見たり聞いたりしています。

しかし、はっきり言ってパッとした改善策が実施されていないというのが感想です。

しかも、その改善策は現場に任せっきりの対策が多い印象です。

そもそも、処遇が改善されていればストライキなんて起こりません。

 

この現状を知ってもらうために、お国のエラい人はもっと現場に足を運んでもらい、現場の状況に合わせた対策を行ってもらいたいものです。

まおつん
正直なところ、給料を数千円上げるなんて小さいこと言わずに、数万円単位でドカッと上げるくらいはしてほしい!
あとは税金社会保障料もなんとかして!

 

訪問看護師の需要が確実に高まる理由3つ

これからの日本では、訪問看護師の需要がもっと高まることが予想されています。

もちろん、今でも訪問看護師はとっても貴重な存在ですが、それがもっと加速していくはずです。

その3つの理由について解説していきますね。

 

1、少子高齢化で高齢者が増えるため

日本では高齢化社会がこれからもっと加速し、高齢者が増えていきます。

もともと、高齢になると慢性疾患や認知症などの疾患を抱えることが多く、入院が必要になることもあります。

その一方で、そういった高齢者が自宅で安心して過ごすためには、訪問看護師の存在がどうしても必要となります。

訪問看護師は、患者さんの自宅でのケアを行い、自宅で安心して過ごしてもらうためのサポートができる貴重な存在となるでしょう。

 

また、高齢者のケア以外でも「話し相手が欲しい」という需要は高まります。

訪問看護師としてのスキルの高さも大切ですが、これからはコミュニケーション能力が高い訪問看護師の需要が増えていくと考えられています。

 

2、地域医療・介護連携の重要性が増すため

地域医療・介護連携は、その地域の医療や介護サービスをもっと円滑にするための取り組みです。

訪問看護師は、地域のお医者さんや薬剤師さんと密に連携を取りながら、患者さんの状態や治療方針を共有することで、診療の質を高めていきます。

つまり、患者さんと地域医療をつなぐ橋渡しとしての重要な役割を持っています。

 

また、訪問看護師はその地域の高齢者や介護が必要な人々の健康状態や生活状況を把握しているので、その情報がうまく共有できれば地域の保健・福祉サービスがもっと良くなることが期待できます。

このような地域医療・介護連携の取り組みが、今後はさらに訪問看護師の需要を増加させることになります。

ここでもコミュニケーション能力が重要なスキルとなってきそうですね。

 

3、医療・介護現場の多様化が進むため

訪問看護は病院や施設と比べて患者さんの自宅や身近な場所でケアを提供できるのが最大のメリットです。

患者さんが安心して過ごすことができる環境を整えることが何よりも大切だとされているので、例えば、転倒や誤飲などの事故を防ぐための環境整備やアドバイスを行うことが必要です。

 

また、訪問看護師は、患者さんの生活状況や価値観などを把握することで、より個別に対応できるケアをすることができます。

近年では患者さんやご家族の価値観も多様化しているので、このような医療・介護現場において重要な役割を果たすことができます。

しかし、この多様化することにより、訪問看護師の仕事の内容ももっと幅が広くなってていくことと思われます。

例えば、訪問看護師による検査や治療の実施、複数の患者さんの管理するなど、新たな業務が求められる可能性もあります。

 

これらの理由から、将来的には訪問看護師の需要が増加することが予想されます。

そのため、訪問看護師が社会からどのように求められているのか、より専門的な教育やトレーニングが必要となるでしょう。

また、地域社会との関係性もさらに密になっていくと考えられます。

 

訪問看護師は、患者さんと家族との信頼関係を築き、自宅での安心した生活をサポートする役割を担っています。

今後も、訪問看護師の役割や業務内容が拡大していくことが予想されるため、訪問看護師になるための教育や訓練の充実が求められるでしょう。

 

まおつん
訪問看護師になるためには、転職サイトへの登録が一番の近道ですよ。
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訪問看護師の人手不足で私たちにできることは?

日本では訪問看護師の人手不足が深刻化しており、多くの人が医療サービスを十分に受けることが困難になっています。

そこで、訪問看護師の人手不足について、現場の看護師ができることは以下のようなものがあります。

【現場の看護師ができること】
1、改善案を提案する
2、ITを活用して業務を効率化する
3、情報発信を行う

 

1、改善案を提案する

現場の看護師たちは、患者さんと直接接することが多いため、訪問看護の実情について深く理解しています。

そのため、自分たちができる改善点についても良くしっているはずです。

まずは、できる範囲で改善案を上司や管理者に提案することが大切です。

 

例えば、訪問先での時間管理がうまくいかないとき、訪問時間を短縮するためにどうしたらいいか、どのような工夫ができるか、一緒に考えてみることが必要です。

「昼食を外で食べられるようにしたい」

「直行直帰ができるようにしたい」

「訪問件数あたりで手当てを出して欲しい」

などが挙げられると思います。

 

現場の看護師たちが自ら考え、実践することで、より効率的な訪問看護が実現され、人手不足の解消につながる可能性があります。

魅力的な職場になれば、それが訪問看護師の目に止まって自然に人が寄ってくるようになります。

 

2、ITを活用して業務を効率化する

現在、訪問看護において、業務を効率化するためのITツールが開発されています。

例えば、訪問看護記録を簡単に作成できるアプリや、医療機器のデータを自動で取得し、管理するためのシステムなどです。

 

最近では電子カルテを導入する事例が増えています。

電子カルテを導入することで、複数の看護師が同時に患者さんの情報を確認できるため、情報共有がスムーズに行えます。

 

また、訪問看護師は患者さんの自宅や施設を訪問するため、外出先での作業が多くなります。

そのため、スマートフォンのLINEによる情報交換や連絡する機会が増えています。

これらを利用して患者さんの情報を確認したり、スケジュールの調整を行ったりすることができます。

 

まだそこまで普及はしていないですが、テレビ会議システムの導入によってリモートでの診療・訪問が可能になりました。

新型コロナウイルスの感染拡大により、訪問看護師が患者さんの自宅や施設に訪問することが難しい時に有効活用できそうです。

テレビ会議によってオンラインでの診療や相談ができるようになれば、よりスムーズに業務を行えるようになり、患者さんのケアにつながるというメリットがあります。

 

ただし、ITを導入することの課題もあります。

例えば、システムの操作に不慣れな看護師がいる場合、導入するまでのトレーニングなどで手間と時間が発生してしまいます。

研修会などを行うには業務をストップする必要があるため、お金をかけてでも行うべきかどうかは訪問看護ステーションの責任者が頭を悩ませるところです。

 

このように、ITの導入は最初の時間と手間は掛かりますが、うまく活用することでより効率的に業務を行うことができるようになるでしょう。

ITツールの進化はすさまじいので、さらに高度な医療サービスを提供することが期待されています。

 

3、情報発信を行う

訪問看護に興味関心を持つ若い人材を確保することは今後ますます重要になっていきます。

そこで、訪問看護について正しい情報を伝え、魅力をアピールするような情報発信をしてみましょう。

 

最近ではSNSなどインターネット上での情報発信がメインです。

訪問看護師がブログやSNSなどで、自分たちの仕事や働く環境について発信することで、若い世代に興味を持ってもらうことができます。

また、多くの人が利用する就職サイトに掲載することで、さらに多くの人に訪問看護の魅力を知ってもらうことができます。

 

さらに、高校や大学などの教育機関との連携も重要です。

訪問看護に関する講演会や説明会を開催することで、若い人たちに直接訪問看護の仕事内容や魅力を伝えることができます。

さらに、短期インターンシップや職場見学などを実施することで、仕事を体験してもらう取り組みの良いのではないでしょうか。

 

まおつん
訪問看護師1年生が「これだけやって欲しい」という記事をまとめました。
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まとめ

今回は訪問看護師が増えない理由と将来性について解説しました。

高齢化社会によって、今後は訪問看護は間違いなく将来性がある仕事だと考えられるでしょう。

ただし、訪問看護の魅力がたくさんの人に十分に伝わっていないなど、まだまだ多くの課題はあります。

 

わたしもこのブログをもっと盛り上げて訪問看護の魅力について語っていきたいと思います。

 

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