訪問看護師のまおつんです。
アセスメントとは、患者さんの情報を分析して評価することです。
患者さんの身に何が起こっているのか、また、今後はどう変化していくのを考察するのがアセスメントの基本的な考え方です。
訪問看護を行う上でもアセスメントは重要な項目なので、しっかり理解していただければと思います。
実際にアセスメントシートの活用法なども紹介します。
アセスメントシートをすぐに使いたいかたは、『ヘルパー会議室』というサイトから無料でダウンロードできます。
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アセスメントとは
アセスメントは、客観的な測定データなどから患者さんの状態を評価するための重要なものです。
アセスメントについて、大きく分類すると以下の図のようになります。
アセスメントと一言にいっても、身体状態や心理状態を評価する「ヘルスアセスメント」、身体状態のみを評価する「フィジカルアセスメント」、問診や触診などを行う「フィジカルイグザミネーション」に分けられます。
アセスメントは患者さんがどの段階にあるのかを判断し、必要となるケアを見えるようにすることが最大の目的です。
訪問看護におけるアセスメントとは
訪問看護の場合のアセスメントにおいても、基本的には同じ考え方のもとで行われます。
ただし、訪問看護は患者さんの自宅で行うケアであるため、患者さんやご家族の意向に沿ったサービスを行えるかどうかを重要視しています。
基本的なサービスの内容は、お医者さんが作成する訪問看護指示書に書かれていますが、患者さんとご家族に寄り添ったサービスを行う事により重点をおいてケアの内容を決めていくのが、訪問看護においてのアセスメントといえます。
アセスメントで押さえるべきポイント
アセスメントは英語でいうと「Assesment」となり、直訳すると「査定」や「評価」という意味があります。
患者さんの状態を評価するためのいくつかのポイントについて紹介します。
1、アセスメントは繰り返し行う
2、先入観を捨てる
3、違和感に気付く
4、アセスメントは手段だと考える
1、アセスメントは繰り返し行う
訪問看護は患者さんの家に週1~2回程度は訪問する事になります。
患者さんの体の状態は日々変化していくものなので、アセスメントも繰り返し行い最新の情報を共有できるようにしておくことが重要になってきます。
また、患者さんの気持ちや要望も変化するので、ニーズに答えられるように情報収集を欠かさずに行うようにしましょう。
2、先入観を捨てる
3、違和感に気付く
アセスメントで重要なことは、「いつもと違う」「なにか変」という違和感に気付くことです。
このブログでは、バイタルサインの測定のときには「客観的な情報をもとに判断しましょう」ということをいつも言っていますが、看護師の皆さんが気付いた違和感を大切にすることも重要です。
データや数字では表現できない患者さんの状態についても、日頃から患者さんと向き合う事で気付けるようになります。
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4、アセスメントは手段だと考える
アセスメントは手段であって目的ではありません。
アセスメントが完璧に出来たからといって、完璧なケアが出来るわけではないので、あくまでも患者さんに必要なケアを判断するための材料だと理解しましょう。
実際に患者さんをケアをするのは看護師なので、そのためのスキルを磨くことも同じくらい重要なことだと覚えておきましょう。
重要なのはアセスメントを利用して患者さんの望むサービスを提供するということです。
アセスメントを行うときのコツ
アセスメントを実際に行う時のコツについても解説します。
1、正常な状態を把握し、異常を認識する
2、アセスメントが出来ているかを確認する
3、アセスメントの内容は共有される
1、正常な状態を把握し、異常を認識する
患者さんの異常を把握するためには、まずは日頃から正常な状態を把握しておく事が大切です。
日常生活の中においても、何か問題が起こった時に『正常』か『異常』かを判断するには、正常な状態を把握しておくことが何よりのエッセンスです。
つまり、正常な状態を知っているからこそ、異常かどうかの判断が出来るようになるということです。
2、アセスメントが出来ているかを確認する
アセスメントの結果は本来は実施する人によって同じ結果であることが理想です。
とはいっても看護師によって多少の表現方法は違うので、自分がアセスメントを正しく行えたかどうか、先輩や上司に確認してみることをおすすめします。
また、看護師だけではなく、ケアマネージャーやヘルパーにも確認をしてもらい、多角的な意見をもらうのも有効な方法です。
様々な意見をもらう事で自分のアセスメントの精度がかなり向上します。
3、アセスメントの内容は共有される
後の「アセスメントシートの活用」の章でも解説しますが、アセスメントは「情報」です。
患者さんがどのような状態であるのかなどの情報が、誰が見ても分かるような内容で書かれている必要があります。
自分が書いたアセスメントの情報は、介護ステーションなど他の事業者にも共有されるということを意識して書くようにしましょう。
アセスメントシートの活用
ここからは実際にアセスメントシートに書かれている内容や書き方のコツについて解説していきます。
アセスメントシートは、患者さんの基本的な情報や、心身の状態、どのようケアを必要としているかなど簡潔に書かれているものです。
多くのステーションではアセスメントの書式が決まっているので、その項目を埋めていく作業になります。
アセスメントシートに書かれていること
一般的なアセスメントシートに書かれていることは以下のような内容であることがほとんどです。
・氏名、住所、生年月日など
・家族構成
・要介護度
・被保健者情報
・医療機関などの利用状況
・生活習慣など
・医療サービスの利用状況
・本人やご家族等の要望
・住居の情報(トイレや浴室の設備など)
・既往歴や現症
・身長や体重
・主治医の意見書
・ADL/IADL
・尿や便の状態
・認知レベルやコミュニケーション方法
・社会活動状況など
・その他の事項
項目は非常に多いですが、これらの内容をもとに、ケアマネジャーやお医者さんが必要なケアなどを判断し、本人やご家族の希望などを考慮しながら訪問看護師などへ仕事が割り振られます。
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アセスメントシートの書式
アセスメントシートは所属する訪問看護ステーションにあると思うので、その書式に従って記入します。
参考に『ヘルパー会議室』というサイトから引用したアセスメントシート5枚を紹介します。
無料で登録をするとアセスメントシートがダウンロード出来ますので、気になる方は「ヘルパー会議室」のホームページから登録してみてください。
また、日本語と英語が表記してあるアセスメントシートは下のリンクから無料でダウンロードできます。
「SBAR(エスバー)」を活用して「提案」をする
アセスメントシートは患者さんなどの情報をまとめている書式という事は理解できたと思います。
ここでさらに一歩踏み込むためには、「提案」をすることが重要なことも覚えておきましょう。
アセスメントシートを見た人が「だからどうしたの?」とならないように、「こういう事実があるから、○○が必要です。」などと、アセスメントシートを共有する時には提案とセットで報告が出来るようになると、仕事がデキる看護師だなと一目置かれる存在になります。
この時に重要なのが「SBAR(エスバー)」です。
SBARは、「S:Situation」「B:Background」「A:Assesment」「R:Recommendation」の頭文字を取って作られた言葉です。
それぞれの意味を理解しましょう。
Background(背景):なぜそうなったのか
Assesment(評価):何が問題なのか
Recommendation(提案):何が必要なのか
これを意識して話をする事で、迅速かつ適切なコミュニケーションが取れるようになります。
とくに、緊急度が高い要件などでは、このSBARを活用する場面が増えているので、要点をおさえて報告をするようにしましょう。
アセスメントを行う時も、最後には「どうして欲しい」という要望や提案があると、あなたの話を聞く相手に伝わりやすいです。
SBARを活用したケーススタディ
アセスメントに関してだいたい理解したところで、SBARを活用した具体的なケーススタディを見ていきましょう。
ケーススタディ1「腹痛を訴えている患者さん」
まずは患者さんが腹痛を訴えている場合で、適切なSBARを活用した報告例を見ていきます。
【R:提案】すぐに診察をお願いできますか?
このケースでは、患者さんが急に腹痛を訴えたケースですが、SBARに沿ってお医者さんが知りたいことを看護師が速やかに伝える事が出来ています。
お医者さんへは電話で報告するケースがほとんどですが、お医者さんから「血圧はどう?」と質問してから「えーと、血圧はこれから測定します。」というような事にならないようにしましょう。
お医者さんも非常に多忙なので、質問されることを予め予測して情報を揃えてから連絡をするようにします。
ケーススタディ2「発熱がある患者さん」
次のケースは、患者さんに発熱が認められたケースについてです。
どのようにSBARを活用しているのかを見ていきましょう。
【A:評価】呼吸は25、脈拍は90、SpO2は96%、また肺の副雑音はありません。
このケースもSBARをうまく活用したことで、最低限のやり取りだけで必要な情報と、お医者さんにお願いしたいことがすぐに伝えられています。
最終的にお医者さんにお願いしたいことは「すぐに往診をお願いします。」ですが、電話してすぐ「往診をお願いします!」という事は避けましょう。
連絡を受けたお医者さんからすると「なぜ今すぐ往診が必要なのか」という具体的な根拠となる情報が不足しているからです。
このように、SBARを活用するにはある程度の経験とコツが必要となります。
伝えたいことが迅速に伝えられるように、普段から意識して取り組むようにしましょう。
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アセスメントに必要な基礎的スキル
これまで解説してきたアセスメントやSBARを行うには、「問診」「視診」「聴診」「触診」「打診」「バイタルサインの測定」などの基礎的なスキルが必須です。
このブログでは、これらの具体的な方法についても解説しているので、関連記事のリンクを合わせてご確認ください。
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まとめ
今回はアセスメントについての概要をアセスメントシートの活用について解説していきました。
繰り返しになりますが、アセスメントシートは手段であって目的ではありません。
アセスメントシートを活用する一番の目的は、患者さんに適切なケアを実施したりサービスを提供することです。
医療関係者が正しい情報のもとに、適切な判断が出来るようにアセスメントシートが存在します。
また、緊急を要するようなケースでは「SBAR」が重要ということも解説したので、訪問看護のお仕事にお役立てできれば幸いです。
このブログでは訪問看護の現場で役に立つ情報などを発信しているので、気になる方は関連記事も合わせてご確認ください。