13歳で余命宣告された息子…家族に寄り添う訪問看護の仕事とは?

訪問看護師のまおつんです。

訪問看護の仕事についてこのブログで紹介していますが、今回は日テレNEWSで取り上げられていた訪問看護師のニュースが気になったので、このニュースの内容を簡単に紹介し私の所感を解説していきます。

13歳という若さで亡くなられた大平空河さんに最期の最期まで寄り添ったご家族や訪問看護師を取材した今回のニュースは、現役の訪問看護師やこれから訪問看護師を目指す学生さんにも知っておいて欲しい現実を伝えてくれています。

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日テレNEWSの報道の内容

このニュースでは、生まれた時から両目にがんがあり、13歳で余命宣告された大平空河さん(13歳)について報道されています。

13歳という若さでこの世を去ってしまった事に対して空河さんは、2名の訪問看護師のサポートのもと、ご家族へ手紙を書きました。

空河さんの両親は、まだ幼い息子へ「ありがとう…」と言葉を残して、最後には息を引き取ったという内容が報道されています。

 

空河さんの様子

先ほども簡単に解説しましたが、13歳の若さで亡くなった空河さんは生まれた時に両目にがんが見つかっています。

本人は普段から痛みを感じているようで、亡くなる3カ月前には両目が失明しています。

また亡くなる直前には話すこともままならない状態にまでなっていました。

空河さんは、このような状態でありながらも、最期に家族に伝えたいことがたくさんあったようです。

 

「最後の一呼吸までしっかりお手伝いしたいと思う。」

空河さんを担当した訪問看護師は2名いたようですが、そのうちの1人は「最後の一呼吸までしっかりお手伝いしたいと思う」と話していました。

医師から余命宣告を受けている以上、訪問看護師としてできる事は最後まで患者さんに寄り添い心の声を聴く事だと改めて感じさせてくれます。

この訪問看護師は空河さんが日頃から家族へ思っていることを言葉にするために、たくさん話を聞き続けました。

その後、訪問看護師と一緒に書いた手紙が空河さんから家族に対して送られています。

 

 

空河さんの手紙の内容とは

ニュースで報道されていた手紙の文面からは以下のメッセージが手紙に記されていました。

「毎日お父さんが仕事に行く時、目が覚めているんだ。」

「いつも心の中で『気を付けていってらっしゃい』って言っているんだよ。」

「お母さん、お母さんが笑ってくれるのが一番うれしい。」

「お母さんは僕の心配しすぎ。お母さんが不安なら少し入院するのも考えるけど、にぎやかでお母さんのおいしいごはんが食べられる家に居られることが一番うれしい」

「今年のお母さんの誕生日、兄弟4人で楽しく笑ってお祝いしたい」

以上の内容が空河さんから家族へ宛てられた手紙の内容です。

 

 

訪問看護師ができる事

訪問看護師として、また、ひとりの人間として、空河さんのご冥福をお祈りいたします。

ご家族に対しては、これからも大変でしょうけど空河さんは天国で皆さんの事をずっと見守ってますと言葉を添えたいと思います。

今回の報道を見て私が感じた事は、訪問看護師は患者さんだけではなく、ご家族の心のケアまでを行うのが本当の看護だと改めて気付かされた点です。

 

訪問看護師の仕事は「後悔」の連続

訪問看護師をやっているエンゼルケアに立ち会う場面も多くありますが、なぜかいつも「後悔」という言葉が頭に浮かびます。

エンゼルケアの時に、患者さんのご家族からは「ありがとうございました。」と感謝をしてくれることも多いですが、自分の中では「もっとこうしてあげれば良かった」「もっとこういう言葉を掛けてあげればよかった」と思う事がたくさんあります。

後悔をするからこそ、次こそはこういう事をしてあげようと心に決意することもありますが、日頃から死に向き合っている看護師ですらも患者さんが亡くなる場面に慣れる事は決してありません。

 

後悔ばかりでもいけない

たった13歳という若さで亡くなられた空河さんに対して思う事は、天国で心穏やかにゆっくり休まれることを願うばかりです。

また、訪問看護師としては後悔して落ち込んでばかりいるのではなく、次に進むことで一人でも多くの人が幸せになれるようにお手伝いしてあげる事だと考えています。

「あの時こうしていれば」と後悔して悩みすぎると、他の患者さんのケアがおろそかになったり、行動するのに躊躇してしまう事もあります。

患者さんとのお別れは悲しいけれど、自分の感情とうまく付き合っていく事も必要な素質だといえます。

 

「いつも隣にいる人」を目指す

訪問看護師が病棟勤務の看護師と大きく違うところは、患者さんの家に訪問してケアをすることです。

病棟で勤務するよりも患者さんとの心理的な距離も近いですし、プライベートなことの関連も高まります。

その中で患者さんからは「いつも隣にいる人」と思ってもらえるようなサービスを心がけたいと思っています。

「空気」や「水」は普段私たちはあまり意識しませんが、人が生きていくためにはなくてはならないものです。

空気や水のように患者さんの人生に寄り添う気持ちをいつも持っていきたいですね。

 

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まとめ

今回は、生まれた時から両目のがんが見つかり、わずか13歳で亡くなられた空河さんとそのご家族のお話について、訪問看護師として改めて気付いた点があったので紹介しました。

訪問看護師は一人ひとりの患者さんの命を向き合い生活を支えるとてもやりがいのあるお仕事です。

もちろん日々の仕事は大変なことばかりですが、患者さんが豊かで幸福な人生を歩めるように支える事ができます。

現役の訪問看護師や訪問看護師を目指す学生さんはこのニュースを見てどんな事を感じるでしょうか。

 

まおつん
訪問看護師は人の生死に身近な存在です。
大変さもあり、とてもやりがいもある仕事です。