訪問看護は病院と比べてキツいってホント?それでも訪問看護を続ける理由

訪問看護師のまおつんです。

 
相談者
訪問看護に入職を考えていますが仕事はキツいですか?

 

「訪問看護の仕事はキツい!」って聞いたことありませんか?

今回は訪問看護ステーションに入職を考えている看護師さんの悩みを解決するために、病院勤務と訪問看護の違いと対処方法について解説します。

訪問看護はやっぱりキツい?

わたしはこれまでに、病院に勤務したあとに訪問看護に入職した経験がありますが、経験上、訪問看護は慣れるまでがキツいです。

その理由は、病院で働いているときはチームで動く一方で、訪問看護の場合は基本的に個人で動くことが多いためです。

 

慣れるまでは大きなギャップに戸惑い、精神的・身体的にしんどいと感じる看護師さんが多いようです。

実際にわたしの場合、訪問看護を始めてから慣れるまでには半年間くらいかかりました。

 

ただ、人によっては訪問看護が向いている人とそうでない人がいるので、病院勤務と訪問看護の違いをもっと詳しく解説していきます。

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病院勤務と訪問看護の違い

病院勤務と訪問看護の違いをまとめると下のようになります。

・チーム全員で動く
・何でも揃うし融通が利く
・責任が分散される
・夜勤がある
・基本は一人で動く
・臨機応変に対応する必要がある
・個人の責任が大きい
・夜勤が基本的にない

病院では基本的に決められた時間に決められた業務を行う事が多いのが特徴です。

一方で、訪問看護は患者さんに家に訪問して血圧測定やお風呂の世話などをするので、臨機応変に対応することが求められます。

違いについてもっと詳しくみていきましょう。

 

病院での勤務

病院での勤務は基本的にチームで動くことが多いです。

「何時に○○をする」「誰が△△を担当する」「□□さんは◇◇に注意する」など、1日でやる業務がほとんどルーティン化されています。

何よりもチームワークを重視するので、看護師同士や上司との『報・連・相』を徹底して仕事をします。

 

特に経験が少ない若い看護師は、きちんと報告などが出来ていなくて先輩に怒られる事もしばしば。

重要な情報が正しく伝えられないと大きなミスにつながる可能性が高まるため、病院では看護師間での情報共有が頻繁に行われます。

 

チームワークが重要であるがゆえに、苦手な先輩がいても報告のために自分から話掛けなくてはならず、仕事内容よりも人間関係に苦労するケースは多くあります。

また、病院での勤務は「夜勤」があり、夜勤のある生活が続くと生活や体調にも乱れが出るので、20代の若い頃は気合で何とか乗り切れますが、30代になると体調管理などが難しくなってきます。

 

訪問看護での勤務

訪問看護は患者さんの自宅に1人で訪問して仕事するので、その分看護師一人ひとりの責任も重くなります。

特にご高齢の患者さんや持病をお持ちの患者さんの場合だと、訪問した直後に何らかの原因で突発的に体調が悪くなるケースも珍しくありません。

このような場合、自分の仕事に何もミスがなかったとしても、患者さんのご家族から不信感の目を向けられることもあるため精神的な負担も大きいといえます。

 

また、訪問看護は入職したばかりの時はまだ慣れないので先輩と同行して仕事をしますが、基本的にクリニックはどこも人手不足なので、中途で入職した人は初日だけ同行し、2回目からいきなり1人で訪問するように指示されるケースが普通にあります。

病院勤務と違って、訪問看護は人間関係に悩む人は少ないですが、看護師の責任も大きいので一人ひとりの患者さんとうまく信頼関係を築いていくスキルが求められます。

 

さらに、訪問看護には基本的に夜勤はほとんどありません。

しかし、事務所からはいつでも連絡できるスマホを貸与されており、電話番の日は緊急の呼び出しをされる場合もあります。

その分の手当は多少出ますが、休みの日もゆっくり休めない大変さもあります。

 

訪問看護に向いている人

訪問看護に向いている人は以下の人です。

【訪問看護に向いている人】
1、患者さん一人ひとりと向き合って仕事をしたい人

2、その場の状況に応じて臨機応変に対応できる人
3、チームワークが苦手で病院勤務が向かない人
4、とにかく人に気が使える人、世話好きな人

わたしの場合は上の全部が当てはまっていたので、訪問看護をやって正解だったと思っています。

 

訪問看護は患者さんと1対1で対応するので、患者さんから心の底から感謝されたときには他に代えがたいくらい大きな喜びがあります。

これは病院ではあまり得られない経験かも知れません。

 

また、わたしは女性コミュニティー特有の空気感が苦手なので、一人で出来る訪問看護の方が向いています。

ただ、訪問看がメインとはいっても、事務所に帰ってからは事務仕事もあるため、同僚や上司と仕事上の最低限のやり取りはどうしても発生します。

こればかりはしょうがないと割り切るしかありません。

 

訪問看護が向いている人のもうひとつの特徴としては、「人に気づかいが出来る人」です。(看護師全員が必須かも…)

訪問看護は病院勤務の時よりも患者さんへの細かい配慮が重要になるため、患者さんの小さな体調の変化にも気付いて対処が出来る人が向いているといえます。

 

「訪問看護はこれがキツい!」エピソード集

わたしが訪問看護の仕事をする中で特に大変だったことをいくつか紹介します。

 

1、夏は死ぬほど暑い!冬は死ぬほど寒い!

訪問看護で大変な事は「夏は暑く、冬は寒い」という事です。

当たり前のことですが、患者さんのお宅は基本的に患者さんが快適な温度になっているので、夏は室内で動くので死ぬほど暑い思いをします。

逆に冬は室温はちょうど良いか少し暑いくらいですが、ケアが終わり外に出ると汗が冷え死ぬほど寒い思いをします。

さらに雨が降っている日だと、カッパを着ていても訪問時にずぶ濡れになる事もあるのがツラいところ。

 

わたしが勤めるクリニックは車の移動が認められているのでまだマシですが、自転車で移動している知り合いの看護師は、「夏も冬も地獄」だと言っていました。

 

2、夜間~早朝の緊急対応がキツい!

訪問看護師は緊急時の対応のために事務所からスマホを貸与されており、いつでも電話に出れるようになっています。

この電話が鳴るのは月に数回程度ですが、訪問看護師は主婦も多いので夜間から早朝にかけての緊急対応の電話が鳴るとかなり焦ります。

主婦の朝方といえば、子供を起こしたりお弁当を用意したりただでさえ戦争のように忙しいのに、それに加えて緊急対応の電話が鳴ると本当にテンパります。

 

ただ、緊急対応といっても電話の対応だけで済むことも多く、電話口で患者さんのご家族にアドバイスをする事で場合によっては対処できる事もあります。

本当にヤバいと感じた時は、救急車を要請したり自宅から患者さんのお宅へタクシーで直接向かう事もあります。

 

夕方から夜にかけての緊急対応であればまだ良いのですが、本当にキツいのは実は夜間から早朝の緊急対応だったりします。

緊急対応に備えるために一番重要なポイントは、日頃の訪問の時から患者さんの症状などを正確に判断することで、少しでも緊急事態に陥るリスクを事前に下げておくことです。

このように、日頃からの対応によって緊急時でも慌てずに対処できるように看護師全員が心がけています。

 

3、虫やゴミの臭いがキツい!

訪問看護でキツいエピソードのひとつに、患者さんの家の中に虫が湧いていたりやゴミの臭いがキツいというケースがあります。

わたしが訪問する地域は、比較的裕福な家庭が多いので小綺麗にされている家が多いですが、たまに半分ゴミ屋敷のような家があります。

 

ゴミの臭いが家中を漂っている患者さんの家に訪問した時は、最初こそキツいかも知れませんがそのうち慣れます。

それよりもわたしが苦手なのは、家の中で虫が湧いている事です。

半分ゴミ屋敷のような家ではゴキブリや徘徊しているところもあり、これはさすがに耐えられずに家族に相談し片付けをしてもらいました。

自宅に伺ってケアをする訪問看護ならではのキツいところです。

 

訪問看護は大変だけど…

訪問看護は病院勤務と大きく違いますが、どちらも患者さんが中心である事には変わりありません。

わたし自身、訪問看護で大変な思いを何度も経験したしクリニックから泣きながら帰った事も数え切れません。

しかし、患者さんからの「ありがとう」が今でも一番うれしいですし、これがあるから続けることができています。

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わたしが訪問看護をすることで患者さんの心と体が少しでも救われたなら、きっとこの仕事にも意味があるんだなと思うことができます。

患者さんと一緒に冗談を言いながら大きな声で笑う事もありますし、時には患者さんが言われたことを守らないでわたしから叱られる事もあります。

訪問看護を通して人間らしい血の通ったサービスが出来るのも訪問看護ならではの魅力です。

 

訪問看護で楽しく仕事する方法

日本の看護師人口は約120万人(正看護師のみ)と言われていますが、今後日本の高齢化社会が進むと看護師の需要がより高まると予想されています。

そんな中、少しでも皆さんに訪問看護の魅力を知ってもらい、楽しく仕事をしてもらいたいと思っています。

 

わたしが実践している訪問看護を楽しくする方法をまとめてみました。

【訪問看護で楽しく仕事をする方法】
1、車の移動時間は全力で歌う

2、患者さんと仲良くなり、お茶やお菓子ご馳走になる
3、とにかく時間に余裕を持つ
 

1、車の移動時間は全力で歌う

移動時は自分で運転して患者さんの家に向かうので、車中では大声で歌う事も出来ますし、嫌いな先輩の毒を思いっきり吐くことも出来ます。笑
(車に盗聴器が仕掛けられていない事を願う…)
大きな声を出すことはストレス解消になりますし、気分転換にも最高です。
注意散漫にならないように事故には気を付けましょう。
 

2、患者さんと仲良くなり、お茶やお菓子をご馳走になる

患者さんと仲良くなり信頼されると、ご家族からお茶をご馳走になる事も多くなります。
「○○に行ってきたから~」とお土産をいただくこともあります。
驚いたのは、わたしのために昼食を用意してくれることもありました。
 
お気持ちは非常にありがたいので、極力いただくようにしています。
ただ、あとでトイレに困ることもしばしば。
 
お茶やお菓子をいただくことを禁止しているステーションもあるので、職場に確認したほうがいいですが、患者さんのお気持ちは非常にありがたいですね。
 

3、とにかく時間に余裕を持つ

訪問看護はシフトによっては時間がキツキツに組まれていることもあります。
人手不足の業界なので仕方がないですが、時間に余裕がないとかなり焦ります。
 
でも時間に余裕がないのは、看護師のせいではなく職場にあると思っています。
いま向き合っている患者さん一人ひとりに集中してケアをするようにしましょう。
焦って良い仕事なんかできるわけありません。
 

まとめ

病院勤務ではルールなどの決まり事や多く、またチームワークもかなり重要視されますが、訪問看護はわりと融通が利くことが多く働き方も自由な場合も多いです。

患者さんに合わせたきめ細かなサービスを行うなど臨機応変さは求められますが、訪問看護が向いている人であれば病院の勤務よりも割と楽に働けるかも知れません。(ただし肉体的には病院勤務と変わらずキツいですが。)

 

結婚や出産で病院を一度退職したけど復職したいと考えている人は、訪問看護を選択肢に入れるのは全然アリだと思います。

自分に合わせた働き方をして、患者さんに寄り添える看護師になってくださいね。

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