訪問看護師のまおつんです。
「外用薬」は患者さんの皮膚や粘膜に直接塗ったり張ったりして使用する薬のことをいいます。
訪問看護では、飲み薬などの内服薬と同じように、外用薬についても使用頻度が高く、決められた使用方法を守って使うことが求められます。
今回は外用薬の管理や使用方法について解説していきます。
「内服薬」については関連記事で詳しく解説しているので合わせてご覧ください。
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訪問看護でよく使用する外用薬の種類
訪問看護で使用する外用薬については以下のものがあります。
これらの外用薬は使用する部位や用途などが違うので、きちんと用法用量を守って使用し管理する必要があります。
特にステロイド外用薬には効果の強さが異なる種類の製品があるので、患者さんの状態に合わせたものを使用する必要があることを覚えておいてください。
外用薬の管理で必ずおさえておいて欲しいポイント
外用薬を管理し使用する時に必ずおさえておいて欲しいポイントは以下の通りです。
2、どの部位に・何を・いつ使用するかを整理する
3、用法用量は医師の指示に従う
これらは外用薬の管理において当たり前の事ですが、意外と忘れがちなのでひとつずつ分けて解説します。
外用薬の管理方法を守る
外用薬を保管する時には、原則的に高温・多湿、直射日光を避けてください。
特に夏場はよく使う軟膏やワセリンをテーブルの上に置かれがちですが、温度が高くなって溶けることもあるので注意が必要です。
また、座薬や目薬は光の当たらない所に保管するように指示がある場合もあるので、保管方法については取扱い説明書などで確認しましょう。
また、薬の保管方法については、ご家族にもしっかりお伝えして正しく保管してもらうようにしてください。
期限が切れたものなどはすぐに処分してもらうように伝えておくことが重要です。
どの部位に・何を・いつ使用するかを整理する
患者さんによっては複数の外用薬を使用しているケースも珍しくなく、使用する箇所や頻度などが混乱しがちです。
こういった場合は、どの部位に何をいつ使用するかを示した一覧表を作って誰が見ても分かるように管理しておくと良いです。
特に他職種の方にも分かるようにしておくと非常に喜ばれることが多いです。
また、使用していて症状が悪化したり副作用が出た場合はすぐに使用を中断し、お医者さんの指示を仰ぐようにしましょう。
ご家族や患者さん本人で使う場合においても、異常が出たらすぐに連絡してもらうように伝えておくことが重要です。
用法用量は医師の指示に従う
これも当たり前の事ですが、外用薬はお医者さんの指示のもと適切な用量と用量を守って使用してください。
患者さんやご家族が自分の判断で使用してしまう場合もあるので、看護師であるあなたがきちんと理由を説明をして理解してもらう必要があります。
また、外用薬には容器などに使用期限が書かれていますが、未開封のときの期限で書かれているため開封後の薬は早めに使い切ってしまいましょう。
目薬は使用期限が早めに設定されていることが多く、開封してから1ヵ月程度のものがほとんどです。
外用薬管理の具体的なコツ
ここからは、外用薬を患者さんに使う時や管理する時の具体的なコツについて解説します。
使用期限と残薬の管理
外用薬の使用頻度が少ないと残薬として残ってしまう場合があります。
こういう場合は処方を一時的に止めてもらうこともありますが、患者さんが不安に思うケースもあるので、残薬は見えるように透明な袋などに入れて保管すると良いでしょう。
使用期限が異なる残薬は分けて入れると管理が非常に楽になります。
軟膏の目安は「FTU」
軟膏やワセリンなどの塗り薬は「FTU(Finger Tip Unit)」が適切です。
FTUは指の第一関節まで薬を乗せた量のことで、これで約0.5gとなります。
また、FTUは1円玉の大きさくらいと表現されることもあります。
この量の軟膏を広げると、おおよそ手のひら2枚分まで塗布することができます。
FTUは非常に便利な使い方が出来るので、ぜひ活用してください。
抗真菌薬は入浴後に水分を取り除くのがベスト
白癬の症状がある時に使用する「抗真菌薬」は、入浴後に体がキレイになって水分を完全に拭きとった後に使用するのが効果的です。
足の指の間(足趾間)の水分が完全に除去できない場合は、炎症にならない程度でドライヤーで乾かすこともあります。
貼付薬は毎回同じ位置に貼らないこと
貼付薬は体に貼って使う外用薬ですが、貼った場所にだけ効果が局所タイプと、体の一部に貼るだけで飲み薬と同じように全身に効果があるタイプのものがあります。
局所タイプにおいては、貼る位置を毎回変更することはできないので、かぶれたりしていないか注意して貼り付けしましょう。
全身タイプの場合は、貼る位置を変えることで皮膚障害を防ぐようにしましょう。
座薬の挿入にはワセリンを使用する
座薬を挿入時する時に患者さんが痛がることが多いので、ワセリンを座薬の周りに塗って挿入すると良いでしょう。
リラックスしてもらった方が挿入しやすいので、深呼吸をしてもらうように声かけすることもポイントです。
舌下剤が困難な場合はスプレー剤を検討する
狭心症発作のために使用するニトログリセリンの舌下錠は、飲み込んだり噛んだりするのはNGです。
そのため、飲み込むリスクがある患者さんに対しては、スプレータイプの使用を検討しましょう。
スプレー剤は発作が起きた時にすぐに使えるのでいざという時にも重宝します。
こんな時はどうする?
目薬がうまくできない場合
他人に目薬を差してもらうことは誰だって緊張するもので、訪問看においても患者さんが緊張してうまくいかない場合があります。
そんな時には患者さんに対して、「目をつぶっても大丈夫ですよ」などと声を掛けることで緊張感を緩めてあげるようにしましょう。
ティッシュを小さく折りたたんで目の下に敷き、やさしく抑えながら差目薬をさしてあげるとうまくいく場合があります。
2種類の座薬を使用する場合
座薬を2種類処方されている場合は、重要度・緊急度の高い順番から使用するのが基本です。
座薬には大きく分けて「水溶性」と「脂溶性」がありますが、同一基剤のものを2つ使用する場合は、ひとつ目を使用して5分くらい時間を空けてからふたつ目を使うようにします。
水溶性と脂溶性を両方使用する場合は、先に水溶性のものから使用し、30分以上時間を空けてから脂溶性のものを使用するようにしましょう。
吸入器がうまく使えない場合
特に高齢者の患者さんの場合は、正しい方法で吸入ができない場合がほとんどなので、ご家族やヘルパーの協力が必要です。
ご家族などに吸入器の使い方を教えて使えるようになれば良いですが、それでも難しい場合は「スペーサー」や「リザーバー」と呼ばれる吸入補助具を使って吸入するなどの工夫が必要となります。
ステロイド吸入薬のあとのうがいが難しい場合
ステロイド吸入薬を使用したあとにうがいが正しく行えておらず、薬が口の中に残っている場合は口内炎などのリスクがあります。
そういう場合には洗面所で吸入してもらうか、うがいができる環境を整えてあげる事が重要です。
うがいがどうしても難しい場合は、吸入した後に水分を取ってもらうなどして薬が口内に残らないようにしましょう。
まとめ
今回は外用薬の管理についておさえておいて欲しいポイントや具体的なコツなどを解説しました。
訪問看護では外用薬の管理も非常に頻度が高い仕事のひとつとなっています。
薬の使用方法は医者や薬剤師の指示に従いながら、看護師は正しい用法用量を守って患者さんに使ってもらうことが望ましいです。
ぜひ重要なポイントを抑えて訪問看護の現場で活かしてください。
良ければ訪問看護においての内服薬管理についての記事も合わせてご確認ください。
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