訪問看護は共感力を鍛える事で仕事はうまくいく。

訪問看護師のまおつんです。

相談者
訪問看護ステーションで「共感力が大事だ」と先輩からいわれました。
そもそも共感力ってなんですか?共感力を鍛えるためにはどうすれば良いですか?

「共感力」とは、他の人が言ったことや考えていることについて、「そうだね~」「分かる~」などと同意を示してあげる力のことです。

私たちが生まれてから生活していく環境において、学校や会社などの様々の場で共感力が問われる場面があります。

育った環境が違い価値観が異なる人と同じ空間で時間を過ごすためにこの共感力が必要になってくるのです。

しかも、近年では「多様性の時代」ともいわれ、仕事における男女の平等をなくす政策が取り入れられたり、文化・宗教を幅広く受け入れる社会になりつつあります。

職場においてもコンプライアンスの遵守が厳しく指導され、昔は当たり前のように言われていた、

「女は早く結婚した方が良い。」

「やる気がないならもう来なくていい。」

といった会話や発言に対しても「セクハラ」や「パワハラ」と厳しく非難されるのがいまの社会の風潮です。

 

このように、変化と多様性の社会の中で、共感力を持つことは非常に強い武器となるはずと思いこの記事を書きました。

しかし、「どうやって共感力をつけたらいいの?」「仕事でどんなことに役に立つの?」という漠然とした疑問がわいてくるはずです。

 

正直、私個人的な意見としては「共感力が大事」ということについて、半分は本当で半分は嘘だと思っています。

今回は訪問看護師の私が「共感力」に焦点を当て、独自の切り口で解説していきます。

まおつん
共感力は仕事でたいへん役に立ちますが、果たして本当のところは…?

 

このブログでは訪問看護のリアルな仕事について情報を発信しています。もし興味があれば関連記事もご覧ください。

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「そうですね~」のひと言で仕事はうまくいく

共感力は、看護師になるための素質としても重要です。

 

訪問看護の現場では、患者さんをケアしている途中で、

「そうですね。」「私も分かります。」「辛いですよね。」

という言葉をかける場面がたいへん多いです。

この時、相手の気持ちを理解し共感してあげることこそが共感力というスキルといえます。

 

職場の中でも同僚との雑談やカンファレンスのときであっても、相手の話に理解を示すために共感力は必要です。

このスキルは、相手から「認めてもらえた」「話を聞いてもらえた」と思ってもらうことで、職場全体の雰囲気が良くなったり、潤滑油としての役割を果たしています。

 

たったひと言「そうですね~」と声を掛けるだけで、仕事自体がうまくいくケースが大変多いのです。

この言葉は、相手に対して「理解した」ということを態度で表すことができる便利な言葉です。

 

納得ができない。共感ができない場面での「共感力」とは

「そうですね~」と共感を示したいと思っていても、現実においてはそんな良い場面ばかりではありません。

時には納得が出来ない意見がでることや、全く共感できない考えを持っている人に出会うこともあります。

というか、実際はほとんどそういう場面ばかりかも知れません。

 

そんな時であっても、「そうですね~」と共感を示すべきでしょうか?

私の個人的な考えとしては「YES」です。

ただしこれには条件があり、なんでもかんでも「YES」と言えばいいわけではありません。

 

「そうですね~」は同意を意味する言葉なので、何かを契約する時や大事な交渉の場面で使うのは避けましょう。

しかし、多くの場面においては、もし自分が納得できない意見や考え方であっても、一度は「そうですね~」と共感するのが、結果として楽だったりもします。

 

自分が嫌いな相手や苦手な相手であっても、表面上はあくまでも「理解してますよ」の意味を込めて共感してあげることが大人の対応ということだと思います。

 

議論をすることは無駄と考える

「そうですね~」と共感を示す真逆の行為としては、「でも、○○ですよ。」と反論をすることです。

「でも~」「しかし~」という言葉は、相手の意見や考えに対して反論をしたい時に使います。

 

確かに、日常生活では自分の言っていることが正しいと思うことはよくあります。

どちらかというと、私もよく相手の嫌な部分に目がいきがちな性格です。

 

とはいっても、反論して自分の意見を主張したところで得になることは少ないのが現実かも知れません。

そうであれば、相手が何を言おうと「そうですね~」っと聞き流してあげる方がやっぱり得だなって思ってしまいます。

もちそん、中途半端に「そうですね~」と言うと逆にケンカを売っていると思われるので、心を込めて言うことも意識しましょう。

 

議論しても無駄だなと思ったときには無駄な反論や議論はせず、素直に「そうですね~」と共感してあげるのが、お互いのためでしょう。

 

「そうですね~」の代用品は「なるほど~」

共感はしてあげたいけど、同意はしたくないときに使える言葉が「なるほど~」です。

どうしても納得ができない場面は誰もが一度は経験があると思います。

また、先輩から説教をされている時などは、ぐうの音も出ないほどに心と体が疲弊します。

 

そんなときには、一度冷静になり「なるほど~」とひとまずは言いましょう。

この言葉を言うことで、納得しているかどうかは置いておき、とりあえず話は聞いているという意思を示す事ができますね。

また、この言葉には「半分は納得している」という意味と、「もう半分が納得はしていない」という意味がちょうど半分ずつ込められていると考えています。

 

例えばの話ですが、とある人が、

「愛よりもお金が大事だ。」

と言ったとします。

 

それに全く同意できない場合は、

「なるほど~。○○さんは愛よりもお金が大事だと考えているんですね。」

『あくまでも』あなたの言っていることはこういうことなんですね。とオウム返しするのが効果です。

 

言葉に同意はしていませんが、相手は話を聞いてくれていると思い、あなたに好意を持ってくれると思います。

まおつん
『愛か金』か、難しい話をするときに「なるほど~」は使えます。

実は共感力を鍛える必要はない

前項までは一般的にいわれる「共感力が大事」ということについてお話しました。

ここからは、もう少しだけ私の考え方も含めて共感力について解説します。

 

共感力=忍耐力?

共感力は鍛えたり身に付けたりするものではないというのが私の結論です。

「そうですね~」と共感してあげるのに必要なのは、なんといっても「忍耐力」でしょう。

つまり、自分の感情を押し殺して我慢することが必要だということです。

 

ただでさえ、人間というのは全く共感できない話や意見について理解を示すというのは相当なストレスを溜める生き物です。

そのため、共感力を身に付けるために本を読んで勉強したり、実践したりする必要もないと私は思っています。

自分の菅家と違う意見に対しても、平気な顔して「そうですね~」「なるごど~」と言ってあげる事こそが「共感力」と最初に説明しましたが、「共感力=忍耐力」ということが真実かも知れません。

 

共感に耐えられるかどうか

そもそも、人の価値観は違って当たり前のことなので、自分の感情を殺すことは精神的な負担がかなり大きい行為です。

患者さんをケアするときに、話をじっくり聴いてあげる場合なら平気かも知れませんが、職場において共感力を使うのは相当なダメージを覚悟しなければなりません。

 

「共感力が大事」と誰かからアドバイスされた場合、その言葉の真意は「忍耐力が大事」ということなのかも知れません。

自分の感情を心の奥底にしまいこみ、表面上は相手に共感してあげるという行為について、あなたは耐えられるかどうか、これこそが共感力の本質でしょう。

 

仕事の多くは共感力で成り立っている

訪問看護の仕事では多くの場面で共感力が必要です。
共感力は、ゲームでいうところの「ライフポイント」に似ているかもしれません。
共感力を使うたびに少しずつ自分のライフが消耗していき、仕事が終わって家に着く頃には毎回ほとんどゼロの状態。

 

私の場合は患者さんに対して共感力を使ってもほとんどライフは減りません。
患者さんが訴えるからだの痛みや状態、時には世間話や文句については、看護のプロして共感して話を聴いてあげなければならないため、ライフを削るという感覚はありません。
アセスメントをする上でも患者さんやご家族の話を聴くことは必須だからです。

 

訪問看護ステーションだけでなく、一般的な企業の仕事においても共感力で成り立っています。
相手の意見を聞き、議論を尽くす事で製品やサービスがもっと良くなるので、私たちの生活も便利で豊かになっていることは誰も否定ができないでしょう。
それだけこの世の中では共感力が大事ということの証明にもなります。

 

相手のライフを削ることに夢中になる人
仕事のほとんどは共感力で成り立っているから世の中には必要だと思う反面、一方的に私たちのライフを削ってくるのが職場の人間関係ではないでしょうか。
こう考える人はかなり多いと実感しています。
ひどい職場になると同僚のライフを削り合っているという醜い現実を見ることもあります。

 

職場だけでなく友人と集まっているときなどでも、マウントを取ったり嫌がらせなどをして相手のライフを削る事に精を出す人がいます。
相手のライフを削ると、自分のライフが少し回復したような気持ちになる。

 

しかし、このような考え方はまったくの幻想だと思います。
他人を攻撃して自分が回復するという技は、ゲームの世界においてはほとんど存在せず、現実世界でもたぶん存在しません。
一時的にそういう気分になっているだけで、そのあとで自分が虚しくなるのがオチです。

 

攻撃してライフを回復している気になっている人を外から見ると、なんだか滑稽に見えてきて少しは自分が冷静になれるかも知れません。

 

「奪う人」と「与える人」
英語には「Taker(テイカー)」「Giver(ギバー)」という言葉があります。
Takerは文字通り、テイクする人、つまり誰かから何かを奪っていく人の事をいいます。
奪っていくものは、目に見えるものだけでなく時間や信頼などがあります。
「前に着ていた服いらなくなったらちょうだい」
「どうせ暇ならわたしの仕事を手伝ってよ」
など基本的に自分のことしか考えずに、相手よりも得をしてやろうと考えている人たちです。

 

その一方でGiverは、相手に与える人のことをいいます。
相手のことを優先的に考え行動できる人たちです。
「この服いらなくなったから良かったらあげるよ」
「手が空いたからその仕事手伝ってあげようか?」
などと相手の喜ぶことをしてあげる人たちのことです。
さきほどのTakerとは真逆の考えを持っています。

 

「ギブ&テイク」という言葉があるように、私たちは持ちつ持たれつの関係で成り立っています。
日頃から共感力を発揮し、仕事でうまくやっている人たちはみなGiverの精神をもっている人たちばかりです。
とはいっても、訪問看護の現場においても人手不足で忙しいので、他人にギブするほどの余裕がない場合がほとんどです。
無理せずに自分のできる範囲で良いので、今日から少しずつ心がけてみましょう。
まおつん
ちょっとした気遣いが人と差を付けるポイントになったりもしますよね。

 

まとめ

今回は「共感力」について解説しました。

一般的にいわれている共感力についての説明と、訪問看護師である私の独自の視点を含めて解説しています。

 

共感力は「そうですね~」と理解を示すだけなので簡単だと思われがちですが、普段から実践するには相当な忍耐力が必要です。

しかし、このスキルを身に付ける事で「あの人はちょっと違うな」と差を付ける事が出来ると思います。

ぜひ、普段の仕事で共感力を意識して行動してみてはいかがでしょうか。

 

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