「静かな退職」って悪いこと?訪問看護師が考える自分らしい働き方とは?

訪問看護師のまおつんです。

相談者
最近「静かな退職」という言葉をよく聞きます。これってダメなことなんでしょうか?

 

今回は、「静かな退職」という言葉をホントによく聞きます。

今回は訪問看護師の静かな退職について詳しく解説したいと思います。

 

このブログでは訪問看護のリアルな仕事について情報を発信しています。もし興味があれば関連記事もご覧ください。

 

はじめに:「静かな退職」って何?

近年、「静かな退職」という言葉がSNSやメディアでも話題になっています。

英語では『Quiet Quitting』というそうですね。

 

退職という言葉がありますが、仕事を辞めるということではありません。

職場にはちゃんと行っているけど、やるべき最低限の仕事だけをしてそれ以上の期待や努力はしないという働き方のことをいいます。

 

つまり、「退職」はしていないけど、仕事に対する熱意が離れる――。そんな状態が「静かな退職」と呼ばれている理由のようです。

この考え方は、長時間労働や頑張っても報われない今の労働環境にたいして静かな抗議とも言えるかもしれません。

 

しかし、訪問看護師という専門職においても、この「静かな退職」は流行りつつあるそうです。

しかも、この考え方は若い人だけではなく、40~50代のベテラン看護師にも広がっているようです。

 

業界特有のストレスと燃え尽き症候群

業界特有のストレスと燃え尽き症候群

訪問看護師は、一般病棟の看護師よりも一人ひとりにかかる責任が大きく、その場での判断力や柔軟性が求められる仕事です。

 

一人でご患者さんのもとに向かい、状況に応じて的確なケアを行う――これはやりがいでもありますが、同時に大きなプレッシャーでもあります。

また、利用者や家族、他職種とのコミュニケーション、書類業務やスケジュール管理など、見えない負担が積み重なりやすいのも事実です。

その結果、「仕事は好きだけど、もう気力がついていかない…」と、燃え尽きのような感覚を抱える人も少なくありません。

 

「辞めたいわけじゃない」けど心が離れる瞬間

退職を考えるほどではないけれど、どこか以前のような熱意が湧かない。

「どうせやっても報われない」

「忙しくてまた休憩取れなかった」

「頑張ったのに褒めてもらえない」

といった不満が少しずつ積もり、気づけば自分を守るために感情をセーブするようになります。

「最低限やるべきことはやっている。でも、それ以上はもう無理。」

これこそが、訪問看護師の中で起こる“静かな退職”の始まりです。

 

訪問看護師が静かにやる気を失う背景とは

訪問看護師が静かな退職を考える背景には以下のような現状が考えられます。

・人手不足による過重労働

・成果が見えにくい在宅医療の評価体制

・管理者やチームとの連携不足

・利用者・家族からの過度な期待

こうした要素が重なると、「どうせ頑張っても…」という諦めに近い感情が芽生えやすくなります。

 

 

「静かな退職」は悪いことなのか?

全力で働かない=悪なのか?

「やる気がない」「手を抜いている」といった印象から、静かな退職は“悪”とされがちです。

ですが本当にそうでしょうか?

働くすべての人が常に120%の力を出し続けられるわけではありません。

むしろ、全力で走り続けた結果、心身のバランスを崩す人も多いのです。

 

自己防衛としての静かな退職

静かな退職は、「心が壊れてしまう前のブレーキ」だとも言えます。

すべてを投げ出さず、責任は果たしながらも、自分のペースを大切にする――それは悪いことではなく、むしろ賢い選択かもしれません。

「静かな退職をしたい」と感じる自分を責めるのではなく、今の自分の心の声に耳を傾けてみましょう。

 

仕事との適切な距離感を持つという視点

「熱意があること=いいこと」「期待に応えること=評価されること」という価値観だけでは、長くは続きません。

時には仕事と一定の距離を置き、「自分を守る」姿勢も大切です。

訪問看護の仕事は、“自分”という大切な資源を使って提供されるサービスです。

自分を大事にできなければ、質の高いケアも継続できません。

まおつん
患者さんを気遣うあまり、あなた自身に気遣うことを忘れてしまわないようにしましょう。

 

訪問看護師としての「自分らしい働き方」を考える

看護師は体力的にも精神的にも疲れるお仕事です。

時には、

「わたしもケアして!」

と叫びたくなることもあります。

 

患者さんのケアに意識を向けるあまり、自分自身の心と体のケアをおざなりになりがちです。

訪問看護師を続けるために自分らしい働き方について考えてみます。

 

情熱だけで続けるのは難しい現実

理想や使命感だけでは、長く続けることは難しい――これは、どの医療職にも共通する現実です。

訪問看護師は、「人を助けたい」「地域の力になりたい」と強い想いを持って働いている人が多い反面、自分を追い込みすぎてしまう傾向もあります。

 

価値観の変化と働き方の見直し

働く理由や優先順位は、ライフステージによって変わります。

家族との時間を大事にしたい、プライベートを充実させたい、自分の健康を第一にしたい。

そうした気持ちは、決してわがままではありません。

大切なのは、価値観が変わったときに、「今の働き方は自分に合っているか?」と見直すことです。

 

「静かな退職」に至る前にできること

「静かな退職」を意識した時に試して欲しいことは以下の通りです。

・負担や不満を正直に話せる上司・同僚を持つ

・無理せず断る・調整する勇気を持つ

・業務を一人で抱え込まない環境を整える

・自己研鑽や成長よりも、まずは「心の安定」を優先する

こうした工夫を通じて、“静かに辞めたくなる”状況を少しずつ防ぐことができます。

 

モチベーションを保つためのヒント

仕事が終わって家に帰るともう何もしたくない。

こういう人は多いのではないでしょうか。

あなたはそのくらい仕事中は集中して頑張っているという証だと思います。

仕事のモチベーションを保つにはどのようなことを心がけたら良いでしょうか。

 

仕事に意味を見出す小さな工夫

わたしが心がけていることは、「自分で自分を褒める」ということです。

 

たとえば

「わたしは誰よりも丁寧に仕事をした」

「今日の訪問で笑顔を引き出せた」

「患者さんからありがとうと言ってもらえた」

など、小さな達成感を日々見つけていくことは、意外と大きな支えになります。

 

同僚や管理者との関係性を見直す

孤独を感じやすい訪問看護の仕事だからこそ、チームで共有する時間や振り返りの場を持つことが大切です。

「一人じゃない」と感じられる瞬間が、やる気を取り戻すきっかけになります。

 

「休む勇気」と「やめない選択肢」

調子が悪いときは無理に走らず、「今日は最低限だけでよし」と自分を許してあげましょう。

必要であれば、休職や時短勤務なども視野に入れてよいのです。

「やめたい」と感じたときも、「辞める」か「我慢する」だけではなく、「働き方を変える」という選択肢があることを、忘れないでください。

 

おわりに:無理せず、自分らしく働くために

「静かな退職」を選ぶ人が増えている背景には、過酷な労働環境や、心が疲れ切ってしまう現状があります。

それは、働く人が「自分を大切にする」ための防衛反応でもあるのです。

 

訪問看護師という仕事は尊く、意味のある仕事ですが、それと同じくらい「自分を守ること」も重要です。

「100点を目指さなくていい。」

「たまには70点でもいい。」

そして、自分の気持ちに正直でいることが、長くこの仕事を続けていく秘訣です。

静かに、でも確かに、自分の働き方を見つめ直してみませんか?

 

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まおつん
疲れているということはそれだけあなたが仕事に一生懸命という何よりの証拠ですよ。

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