訪問看護師のまおつんです。
患者さんのQOL(Quality Of Life)を高めるために、訪問看護師が知っておくべきことや具体的な方法について解説します。
「そもそもQOLってなに?」という疑問に答えながら、患者さんの生活の質を上げるための行動についても紹介していきます。
このブログでは訪問看護のリアルな仕事について情報を発信しています。もし興味があれば関連記事もご覧ください。
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QOLの基礎知識
最近、ネットやニュースなどでも『QOL』という言葉を聞く場面が増えました。
ある商品を紹介するときでも、
「QOL爆上げの〇〇!」
「□□を買ってQOLが向上した!」
などという言葉をよく耳にします。
そもそもQOLってどのような意味があるのでしょうか。
1、QOLとは?
QOL(Quality Of Life)とは、『生活の質』を測るために使われる言葉で、健康、社会的、心理的、精神的、物理的、文化的など様々な視点から評価されるものです。
もともとは医療業界でメインに使われていた言葉ですが、少しずつ一般に広まってきたということだと考えられます。
QOLのポイントは、個人の主観的な感覚に基づいて測定され、生活の満足度や幸福度を表現していることです。
私たち訪問看護のような医療や介護などの分野でもとても重要な指標として使われています。
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2、QOLがなぜ重要視されているのか
そもそも、なぜQOLが重要かというと、訪問看護師は患者さんの生活の質、つまりQOLを高めることだからです。
QOLは、病気や障害による身体的・精神的苦痛やストレスなど、生活に大きな影響を与える問題を解決するための役割があります。
また、QOLは医療や介護の質を測る上での指標としても使われ、患者さんの生活をより良くするための取り組みを考えるときにも役に立つものです。
QOLを改善することで、患者さんの生活の質を向上させ、健康な生活や自立した生活を送ることができるようになります。
訪問看護師が知っておくべきQOL向上のための役割
訪問看護師に求められるのは、患者さんのQOLの向上です。
患者さんに豊かな生活をしてもらうために、総合的にサポートしているのが私たちの使命というべきでしょう。
QOLを高めるために、訪問看護師にはどのようなことが期待されているのか、また、具体的な方法についても解説します。
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1、訪問看護師の役割とQOLの向上
訪問看護師は、訪問先の患者さんやその家族と密接にコミュニケーションをとりながら、身体的・精神的な苦痛を軽くして、生活の質(QOL)の向上に貢献することが期待されています。
そのため、患者さんの生活環境や家族構成、病歴や治療内容、医師の指示や介護保険の適用状況などを把握することが求められます。
また、患者さんやその家族が抱える不安や悩みをじっくりと聴き、適切なアドバイスや情報提供を行うことも大切です。
難しく考える必要はありません。
患者さんやご家族がどのようなことを要望しているのかを聞き取りし、時には察して行動することが大切です。
2、QOL向上のための訪問看護の具体的な取り組み
訪問看護師が患者さんのQOLを向上させるためには、まず患者さんの状況を正確に把握することが必要です。
例えば、日常生活の自立度や介助必要度、疾患の進行度、痛みや苦痛の程度、認知症や精神疾患などがあります。
また、患者さんの希望や意向にも目配りすることが重要です。
具体的な取り組みとしては、以下のようなものが挙げられます。
疾患管理の支援
訪問看護師は、基本的には医師の指示に基づき患者さんの疾患管理を支援します。
例えば、薬剤の投与管理や創傷処置、痛みの管理などを行い、患者さんの健康管理を支援します。
また、疾患の進行に応じて、治療方針の見直しや入院の提案なども行い、患者さんが適切な治療を受けられるようにサポートします。
機能訓練の支援
訪問看護師の機能訓練の支援には、歩行訓練や筋力トレーニング、日常生活の動作などのリハビリテーションがあります。
訪問看護師はリハビリが専門の仕事ではありませんが、専門職からアドバイスをもらって実施することもあります。
これらを個別に指導するほか、患者さんの日常生活に合わせた計画を立てて支援します。
また、これらのリハビリの進捗状況を評価し、治療方針を見直すことも重要です。
家族への支援
訪問看護師は、患者さんのご家族に対しても、適切なアドバイスや情報提供を行います。
例えば、患者さんの介護の方法や病気の状態や治療について説明をする機会も多くあります。
また、家族が抱えるストレスや不安を聞き出し、解決のための提案を行うことも重要な仕事です。
さらに、訪問看護師は家族の心のケアも行い、患者さんと家族が良好な関係を保つための支援を行います。
家族の負担軽減が、患者さんのQOL向上につながることも多いため、家族への支援は欠かせません。
QOLの評価方法
QOLがどのくらい高いかは、いろいろな研究や学術が存在しています。
基本的には、患者さんにいくつか質問をして、その答えによって判断する方法が一般的です。
ただし、QOLの評価は患者さん個人の満足度や幸福度に左右されるので、「〇〇だから良い」「□□だから悪い」と明確に線引きして良し悪しの判断ができません。
1、QOLの質問項目
質問の内容には以下のような項目に分類して質問することが多いとされています。
・身体機能
・日常役割機能(身体)
・体の痛み
・全体的健康感
・活力
・社会生活機能
・日常役割機能(精神)
・心の健康
QOL評価のための質問項目は、個人が自分自身の生活をどの程度満足しているかを数値化することで、より効果的なケアを行うことができます。
この質問の回答によって総合的にQOLを評価していきますが、回答は個人の主観的な感覚に大きく依存します。
2、QOLの評価方法の種類
QOLの評価方法には、一般的に以下のような種類があります。
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一般的なアンケート式のQOL尺度
これらのアンケートは主観的なアンケートであり、健康状態、社会的・心理的状況、生活環境など、さまざまな要素を総合的に評価することができます。
専門的なアセスメント
これらは、状態に応じた専門的な評価方法であり、神経学的状態や筋肉骨格系の機能について評価することができます。
生体指標によるQOL評価
これらは、体重や身長、血圧、脈拍など、生体情報を評価することにより、QOLを評価する方法です。
ただし、これらの評価は身体的な面だけを評価するため、健康状態に偏りが生じる可能性があります。
以上の方法を組み合わせてQOLを総合的に評価することが重要です。
ここでは「へぇ~。そんなのがあるんだ~」程度に覚えておいてもらえれば大丈夫です。
訪問看護師が抱えるQOL向上の課題
QOLについて解説してきましたが、患者さんのQOLを向上されるためには、いくつかの課題もあります。
訪問看護師が患者さんのQOL向上に向けて取り組む中で抱える課題には、以下のようなものがあります。
1、個々の状況に合わせた支援の難易度が高い
訪問看護師は、患者さんの健康状態や生活環境を考慮し、個々に合わせた支援を提供するのが理想的です。
しかし、患者さんの状態や生活環境は多岐にわたり、それぞれの状況に合わせた支援をすることは簡単ではありません。
訪問看護師にも個性があり、得意不得意があります。
うまく患者さんとマッチングできれば良いですが、全てのケースがこう上手くいくとは限りません。
2、コミュニケーション能力は計れない
訪問看護師は、患者さんやご家族と直接対話し、何を求めているのかなどの要望やニーズを把握しながら仕事をします。
そのため、コミュニケーション能力がとにかく重要となります。
とはいっても、コミュニケーション能力は高い・低いと数値化して評価はできず、これといって正解となる学習方法もありません。
とにかく人と接しながら身につけていくスキルなので、コミュニケーション能力を伸ばすトレーニングも非常に難しいといえます。
しかし、患者さんや家族とのコミュニケーションにおいて、患者さんの心理的な面をサポートするには、コミュニケーション能力が重要ということには変わりありません。
どの看護師をどの患者さんに担当させるかは、基本的に管理者の仕事となりますが、思ったように自分のスキルが活かせないケースもあるのが課題といえます。
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3、地域の医療・福祉ネットワークとの連携が不十分
訪問看護師は、地域の医療・福祉ネットワークと密接な関係を持ち、そのネットワークの中で患者さんに最良のケアを実施します。
しかし、地域の医療・福祉ネットワークにおいても様々な課題があり、うまく連携できないなどのケースもあります。
これらの課題を克服するためには、患者さんの情報を素早く正確に共有することが求められますが、個人情報の扱いやプライバシーの問題、または、セキュリティなどいくつものハードルがあり、なかなか難しいのが現状です。
今後のデジタル技術の進化などに期待したいところです。
QOL向上に向けた訪問看護師のスキルアップ
患者さんのQOLを高めるために、訪問看護師は日々スキルアップしていかなくてはいけません。
訪問看護師が勉強しておくと良い資格について紹介します。
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1、勉強会・研修会への参加
2、疾患管理プログラムへの参加
3、リフレクションの実践
4、スキルシートの作成
5、シミュレーショントレーニングの受講
1、勉強会・研修会への参加
訪問看護師は疾患やケアの専門家だと患者さんから見られています。
それは新人看護師であってもベテラン看護師であっても同じです。
自分が担当している患者さんの疾患に関する最新の情報を得るため、テーマに沿った勉強会や研修会へは積極的に参加するようにしましょう。
ただし、これらの勉強会に参加する時は目的意識が重要です。
ただ漠然と参加するのではなく、
「うまく説明できるようになりたい。」
「新しい法令について学びたい。」
など目標と目的を持って参加するようにしましょう。
2、疾患管理プログラムへの参加
疾患管理プログラムとは、慢性疾患を持つ患者さんの状態を維持し、悪化を防止するために専門家が協力して支援するプログラムです。
患者さんの健康状態を観察し、治療計画の立案と実施、生活習慣の改善などを学ぶように構成されています。
多くの訪問看護師もこのプログラムに参加し、患者さんの健康管理とQOL向上に取り組んでいます。
こういったプログラムへの参加のもう一つのメリットは、他の訪問看護ステーションとの交流が期待できることです。
他の看護師とも情報交換することで、より良いケアの方法やケーススタディを学ぶこともできますよ。
3、リフレクションの実践
リフレクションの実践とは、普段の自分自身の行動や考え方について深く考え、反省し気付きを得ることを指します。
リフレクト(Reflect)は、「反射」という意味があるので、つまり、自分自身を一度振り返ってみましょうということです。
日常を振り返り、そこから学んだことを次の行動に活かすことで、自己成長しながら仕事の改善にもつながります。
訪問看護師にとっても、患者さんとのコミュニケーションやチーム内での連携など、様々な場面でリフレクションの実践が必要となります。
また、リフレクションを行うためには、上司や先輩のアドバイスをもらうようにしましょう。
おそらく、耳に痛い話もいくつか聞くことになるはず。
でも、それこそが自分にとって成長の糧となります。
先輩や上司の言葉を真摯に受け止めて自己成長につなげてください。
4、スキルシートの作成
スキルシートは、訪問看護師のスキルや資格を一覧にまとめたシートのことです。
一般的には訪問看護ステーションの管理者や責任者が、各看護師のスキルシートをまとめていると思います。
「〇〇さんは、ケアの技術はあるけど、コミュニケーションが苦手だから研修会に参加させよう」
「◇◇さんは、患者さんにはとても気に入られているけど、車の運転が苦手だから近場を自転車で回ってもらおう」
などと、看護師の向き不向きに合わせた仕事の割り振りをします。
このスキルシートをうまく使うことで、自分のスキルの弱点や改善点を把握し、研修などでフォローすることができます。
リフレクションと同じように、先輩や上司にアドバイスを求めて、自分に何が足りないのかを教えてもらうようにしましょう。
5、シミュレーショントレーニングの受講
シミュレーショントレーニングは、患者さんの状態や病態に近い環境を再現して、実践的なトレーニングをする方法です。
ロールプレイングと呼ばれることもあります。
シミュレーショントレーニングは、先輩や同僚が患者さんの役になって、実際のケアを行います。
身体的な障害がある患者さんや、認知症がある患者さんにどのように対応したら良いのか学ぶことができます。
訪問看護ステーションに新卒で入職する場合、こういった研修があるステーションを選ぶと良いでしょう。
訪問看護師は、シミュレーショントレーニングをすることで、患者さんに対する適切なケアができるようになるでしょう。
先輩や同僚が見ていると、いつものようにできなくなるんですよね~。
でも、多くの気付きがあります。
訪問看護は『社会インフラ』へ
訪問看護師が患者さんのQOLを向上させるのに重要な役割があるのはご理解いただいたと思います。
今後、私たちが社会インフラの一部としてどのように関わっていくべきかについて解説します。
電気、ガス、上下水道、道路、鉄道、送電網、通信網といった産業基盤となる施設をはじめ、学校、病院、公園なども含まれる。
1、訪問看護のこれからと課題
訪問看護は、高齢化社会がさらに進むとますます重要な役割を果たしています。
これからは、介護保険制度が改正したり、医療技術がもっと進化することも考えられます。
その一方で、それに対応できる訪問看護の役割はますます多種多様になっていくと予想できます。
ただし、足元の現状では、訪問看護師の数が不足しており、地域によっては適切なサービスが提供できていない場合があります。
また、訪問看護に必要な情報の共有や、地域との連携に課題があることも指摘されています。
これらの問題をどうやってを解決していくのが、訪問看護ステーションには求められています。
2、課題解決に向けた具体的な取り組み
患者さんのQOLをさらに向上させる取り組みとして、『地域包括ケアシステム』の構築が欠かせません。
地域包括ケアシステムとは、医療・介護などの専門職から地域の住民一人ひとりまで様々な人たちが力を合わせて対応していこうというシステムです。
つまり、医療のプロだけに任せるのではなくて、その地域に住む一人ひとりが力を合わせていこうという取り組みです。
具体的な取り組みとしては、
① 鳥取県南部町
高齢者向けの住宅を確保するために、空き家や公的施設を改修して、高齢者が共同で住める住居を整備した。
② 鹿児島県大和町
高齢者が作った野菜を使ったおかずの販売や、要介護者をマスターに抜擢したご近所喫茶など、住民活動が連鎖して活性化。
③ 埼玉県川越市
認知症家族介護教室や、誰でも参加できるオレンジカフェ(認知症カフェ)を定期的に開催した。
地域と連携して高齢者や認知症の方が楽しめる場をつくったり、家族を介護する人にとってもわかり合える人との出会いや情報交換ができる取り組みがあります。
これらの取り組みにより、患者さんや家族のニーズに合わせた適切なケアとQOLのさらなる向上が期待されます。
また、医療のプロである私たち看護師は、ICTの活用などのスキルアップにより、より質の高いケアをすることができると考えられます。
これを実現するためには、地域の医療や介護の現状をまずは知り、その対策を行うことが必要であり、今後の取り組みには地域との連携が欠かせません。
自分自身のQOL向上も忘れないで
訪問看護師は患者さんのQOL向上のためにいろいろと努力していますが、どうか自分自身のQOLを向上させることも忘れないでください。
自分自身の健康管理にも十分に気を使い、ストレスを軽減するための工夫や趣味やリラックスするための時間を持つことが必要です。
訪問看護師のまおつんです。相談者訪問看護師ってコミュニケーションが大事な仕事ですよね。でもどうやってコミュニケーション能力を上げたらいいか分かりません。訪問看護師はコミュニケーションがとても重要なお仕事です。[…]
訪問看護師はスポーツやヨガが割と人気があるようです。
仲の良い友達同士でランチやお茶をするなど、プライベートを充実させることでQOLが向上します。
自分自身のQOLを高めることで、それが患者さんに対するケアの質の向上にもつながります。
訪問看護師は、自分自身のQOL向上も忘れないでください。
まとめ
患者さんのQOL向上のために訪問看護師が知っておくべきことや具体的な方法について解説しました。
生活の質の向上というのは、簡単そうでなかなか難しいものです。
その理由は、明確な数字で客観的に表現できるものではないからです。
本人がどのように感じるかということが最も重要なので、独りよがりになってしまってもいけません。
訪問看護師のみなさんは、患者さんのQOL向上のために積極的に勉強会や研修会に参加しましょう。
それと同時に、自分自身のQOL向上も忘れないようにしましょう。
あなた自身が幸福であると、心に余裕が生まれ、それが良いケアの提供につながります。
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