訪問看護師のまおつんです。
看護師を目指す人が通う看護学校でパワハラが問題になっています。
今回はこの看護学校で起こったパワハラ問題について取り上げて、看護師の私が所見を伝えていこうと思います。
このブログでは訪問看護のリアルな仕事について情報を発信しています。もし興味があれば関連記事もご覧ください。
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看護学校のパワハラ問題とは
北海道立江差高等看護学院の教員が学生に対してパワハラをしている問題がニュースなどで取り上げられています。
教員が学生に対して暴言を吐くなどして、精神的な苦痛を与えた事が問題になっています。
具体的にどのようなパワハラがあったのかを見ていきます。
「ペンでぶっ刺すぞ」
教員が看護師に吐いた暴言のようです。
立場が上の教員からこのような言葉を言われたら誰でも深い傷を負う事は明らかです。
これを言われた学生は最終的に退学の道を選んだようです。
「殴る蹴るの暴行をしたくなる」
これもひどい言葉の暴力です。
看護学校に通っていた学生に対して、「あなたは看護師になる価値はない」などとも言われたようです。
実際に暴行の事実があったかどうかは不明ですが、教員から学生へは明らかに脅しともとれる言葉が日常的に使われていたようです。
「お前みたいなバカは死ね」
「死ね」というのはかなり悪意のある暴言です。
普通、学生は教員に逆らう事は出来ず、この立場を利用して学生に言いたい放題言っていたことが伺えます。
教員が学生の成績や進級を決める重要な権限を持っていますが、だからといって人格を否定するような言葉は許される事ではありません。
始末書を何枚も書かされる
このパワハラを受けた学生は、友人との金銭トラブルが問題になりそれが何らかの形で看護学校の教員に伝わり、始末書を何枚も書かせたようです。
最終的な学生に書かせた始末書の枚数は30枚以上とも報道されており、受け取るまでに3カ月以上かかったものもあると言います。
また、始末書には具体的な添削はされず、「頭が悪い」と書かれたり、酷いものだと単に「×(バツ)」と書かれるだけといった事もあったようです。
友人との金銭問題について、看護学校の教員がとやかく言う事も気になりますが、指導者とは思えないような執拗なパワハラには聞いている私も怒りを覚えます。
ここで紹介したのはほんの一部ですが、これ以外にも様々なパワハラがあった事実がニュースなどで報じられています。
このようなパワハラを受けた学生が今は正しい道に歩んでくれている事を祈ります。
北海道立江差高等看護学院(教育理念)とは
北海道立江差高等看護学院のホームページには「教育理念」と「教育目的」として以下の事が書かれています。
以下原文のままです。
教育理念
・道立看護学院は、北海道の地域医療を担う看護職員の養成を目的として設立された専修学校です。
そのなかで本学院の役割は、地域に根ざした看護を実践できる人材を育成し、道内でも看護職員の充足率が低い檜山及び渡島、後志地域の医療・福祉施設等で必要とする質の高い看護職員を供給することにあります。
・本学院は、この設置の趣旨に基づき、恵まれた自然と、歴史と伝統を誇る江差文化のなかで、一人ひとりの学生の持てる力と主体的に学ぶ姿勢を大切にし、よりよく生きるための豊かな人間性を培い、看護の専門的知識・技術を修得して、地域の人々の健康と福祉の向上に貢献できる看護の実践者を育成します。
教育目的
・人間についての理解を深め、生命の尊厳を基盤として倫理観を培い、自己を見つめる力と相手の心を思いやる豊かな感性を養います。
・人々の健康にかかわるさまざまな現象の本質をみきわめ、学んだ知識と技術を統合し、科学的根拠に基づいた看護が実践できる能力を養います。
・社会の情勢や科学技術の発達に関心を持ち、自分を取り巻く地域社会の変化に柔軟に対応できる能力を養います。
・看護の担うべき役割を認識し、保健・医療・福祉領域の人々と連携できる能力を養います。
・看護の専門職としての誇りと自覚をもち、主体的に学習を継続し、自己成長ができる基盤を養います。
なぜこのような問題が起きた?
なぜこのような問題が起きてしまったのかは、ニューなどでも報道されていますが、私の独自の考え方と原因について考察していきたいと思います。
教員も同じ境遇で育った
このパワハラ問題については、学内で副学員長の力が強すぎたために、多くの教員がそれに従うしかない構造が出来上がっていたようです。
副学院長や教員も学生の頃には、必死に勉強して看護師になったと思われます。
当然、その時代にも相当厳しい指導があったと想像できますが、それを次の世代にも同じことをしてしまっているのが現状です。
今や看護師は人材不足で、それが今後はさらに加速すると言われています。
しかし、看護師を指導する立場である人が、自分の仕事が社会的に重要なポジションを担っている事が理解出来ていない事が原因のひとつだと考えています。
つまり「自分の仕事が社会に影響を与える」という想像力が足りていないといえます。
教員が「教育」を知らない
看護学校の教員になるには、5年以上の実務経験や厚生労働省が認定した専任教員養成講習会を修了することなどが条件になっています。
この過程を経て指導者としての道を進むことになりますが、教員が指導者として相応しいかどうかは疑問です。
指導者になるための現行のカリキュラムには、指導者に必要とされる本人の資質までは判断できないところが大きな課題です。
過程に合格さえすれば誰でも教員になれてしまう制度の問題と、それを良しとしてしまう社会全体の構造にも問題があります。
指導者が「教育」についての議論と深い理解が出来ていない事が原因といえます。
厳しさをはき違えている
看護師というのは人の命を預かる重要な仕事です。
そのため、看護師になるためには相当の厳しい訓練や指導を受けなければなりません。
ただし、今回のパワハラ問題のように教員が学生の人格を否定するような言動は、厳しい指導とは程遠いといえます。
始末書や反省文を何枚も書かせたり、暴言を吐く事が厳しさではありません。
失敗をした時に「なぜ失敗をしてしまったのか」「どうやったり同じ失敗を繰り返さないか」について、自ら考えて次の行動に移せるように指導する時には厳しい言葉があっても良いと思います。
反省文を書かせる事で学生に何を学習させたいのかなどの目的と理由を説明せずに、何枚も書かせるのは厳しさをはき違えていると言わざるを得ません。
自分の身を守る方法は?
パワハラ問題について実例と原因について解説してきましたが、私たちが自分の身を守るためにできることは何でしょうか。
まずは誰かに相談する
今回のパワハラ問題についてニュースなどで報道された事で、この事実を多くの人が知る事になりました。
このニュースを見て「もしかしたら自分もパワハラを受けているかも」と思う人がいれば、まずは誰かに相談するようにしましょう。
看護師になるには厳しい指導があると思い込んでいる学生は、自分が理不尽な扱いを受けていてもそれが常識から逸脱している事にはなかなか気付けません。
しょうがないと諦めずに両親や友人に相談してみることが解決の第一歩になります。
SNSなどで事実を発信する(ただしSNSの使い方に注意)
いまやSNSが普及しているので、だれでも簡単に情報を発信できるようになりました。
自分が教員から受けた暴言やパワハラについて発信する事でそれがあまりにもひどい場合は拡散され、今回のように大々的に報道されることもあります。
ただき、気軽にSNSに投稿できるようになった一方で必ず注意して欲しいこともあり、それが以下のような事です。
・「○○と言われた」「△△をされた」などと事実のみを書く
・暴言などを受けた相手の個人を特定できる情報は書かない
ネットの中には、他人から注目をされたいがために実際には起きていない事や自分の妄想を書いてしまう人もいます。
そのような事で全然関係の無い人が加害者になる事もあるので、自分が見たことや聞いたことなど事実のみを書くようにしましょう。
もちろん、相手がどんなに憎いからと言って個人を特定できるような個人名などの情報は書かないようにしましょう。
これらのルールを守って事実のみを書けば、あなたの文章を目に止めた人が何らかのアドバイスしてもらえる事もあります。
社会全体で監視する
最後の解決方法ですが、このような悪質ともとれる経営をしている看護学校を社会全体で監視するよいう方法です。
監視と聞くと物々しい印象を受けますが、市区町村をはじめ、地元企業や近隣の関係者などでこの学校を良く観察することです。
今回のパワハラ問題は学校という閉鎖的な環境で起きている事も原因のひとつと考えられるため、社会全体から見られているという事が学校に伝われば教員もヘタな行動は出来ません。
具体的な方法というのは、市の係の人が時々学校を訪問して様子を伺ったり、一般の方に授業や実習の様子を見学をさせたりする事です。
実現するにはそれなりのハードルがありますが、地域で協力してやれば副学院長や教員もエリを正すしか無くなります。
まとめ
今回は看護学校のパワハラ問題を北海道立江差高等看護学院の例を取り上げて解説しました。
今回ニュースになったのは氷山の一角とも言えそうで、全国的にこのような学校が存在している事が残念です。
看護師はこれから需要がもっと伸びる仕事であるため、看護学校に通う学生は社会にとって非常に貴重な存在です。
このような貴重な芽を摘んでしまう前に、私たち一人ひとりが出来る事を考えて実行していければと思っています。
このブログでは訪問看護に関する役立つ情報を発信しているので、興味がある方は関連記事もご確認ください。