訪問看護師は患者さんの環境を整備せよ

訪問看護師のまおつんです。

相談者
訪問看護で患者さんの環境を整えたいと思いますが、コツとかってありますか?

今回は、患者さんをより快適に過ごしてもらうための環境整備について詳しく解説していきます。

ちょっとしたコツアイデアで患者さんの負担が軽減したり、怪我をするリスクを抑える事が出来ますので、現場でどんどん取り入れていってください。

 

現場で役に立つ訪問看護の知識は、関連記事でも詳しく解説しているので、気になる方は合わせてご確認ください。

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環境整備とは

環境整備とは、その名の通り「環境を整備すること」です。

患者さんの負担を少しでも減らすために、室温に気を配ったり、空気の入れ替えをするなどの配慮を総合的に行う事です。

環境整備を行う目的は、患者さんが快適に在宅医療を受けられる環境を整える事です。

私たち健常者が考えるような整理整頓とは違い、患者さんのための環境整備なので、この点に注意をして実践していくようにしましょう。

一見散らかって見える部屋でも患者さんにとっては必要もの手元にあったり、落ち着ける環境であったりすることもあるため、一概に「これが正解」ということが言えない場合もあります。

 

以下は、環境整備のためのポイントをまとめてあります。

1、ケガのリスクを最小限に抑える
2、患者さんをよく観察し、よく相談する
3、「動作」と「動線」を考慮する

 

1、ケガのリスクを最小限に抑える

患者さんが一番落ち着く自宅で医療を受けてもらうために、一番気にしなければいけないポイントは、転倒など怪我のリスクを最小限に抑える事です。

患者さんが住み慣れた場所であっても、少し工夫するだけで患者さんの負担がかなり減る事があります。

 

2、患者さんをよく観察し、よく相談する

患者さんの負担をできるだけ下げるために、患者さんの行動を良く観察しましょう。

家具の位置を変更したり、リフォームを検討するなども有効な手段ですが、福祉用具の活用は理学療法士や作業療法士の話を良く聞いて相談する事も大切です。

もちろん患者さんやご家族の意向をきちんと聞いた上で慎重に検討するようにしましょう。

 

3、「動作」と「動線」を考慮する

患者さんの家の中での普段の行動パターンや行動範囲として、その「動作」「動線」に考慮します。

起き上がる時にいつも手をつく場所や、腰を休める場所などには環境整備のヒントが隠れています。

また、ベッドからトイレへの移動、または居間への移動の経路に注視して環境を整えてあげると患者さんがより快適に生活が出来るようになります。

まおつん
動線とは、「日常の生活や仕事で、建物内を人が移動する経路を線で表したもの」です。

 

 

環境整備のコツ

環境整備を実践する時のコツやアイデアについていくつか紹介します。

患者さんによっては対応方法が多少異なりますが、少しでもヒントになれば幸いです。

【環境整備のコツ】
1、実際の動きに合わせて手すりなどを設置する
2、ベッドの位置は動線を考慮する
3、小さな段差でも出来るだけ取り除く
4、布団からの立ち上がりには「たちあっぷ」を活用する
5、ベッドの上には飲み物などの必需品を設置する
6、ベッド周辺にはクッションを置いて転落時に備える
7、動線上で体をぶつけやすい箇所にはクッションを置く

 

1、実際の動きに合わせて手すりなどを設置する

環境整備をするためには、患者さんの実際の動きに合わせた配慮が必要になります。

入院していた患者さんが退院することになって訪問看護を利用する場合など、出来れば退院する前に自宅を訪問させていただいて、必要な福祉用具などを揃える事を検討してもらいます。

高確率で必要になるものが、患者さんが立ち上がる時の手すりと、移動する時の手すりです。

患者さんが実際どのように行動するのかを把握し、廊下や階段に手すりを設置する事を検討しましょう。

 

2、ベッドの位置は動線を考慮する

特に寝たきり度の高い患者さんは、1日の大半をベッドの上で過ごすので、ベッドの位置が重要になります。

その際、トイレや食卓までの位置を考慮してベッドを配置するようにしましょう。

患者さんの視点に立って考えるために、実際に自分がベッドから移動してみて気付いた事を反映される事も大切です。

 

寝たきり度については関連記事で詳しく解説しています。

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また、ベッドの向きについても重要で、片麻痺がある患者さんへは、体が動く側に動線が取れるように配慮しましょう。

家族の顔が見える位置にベッドの向きを配置したりすることで、患者さんの安心感も高くなります。

 

3、小さな段差でも出来るだけ取り除く

歩行困難な患者さんは、マットのようなわずか数センチの段差でもつまづく事があるので、動線にはこれらの段差が生じないような配慮が必要です。

出来れば患者さんと一緒に歩いてみて確認してみるのが良いです。

転倒しやすい場所として段差以外でも、浴槽やキッチンなどの濡れた場所などもあります。

 

4、布団からの立ち上がりには「たちあっぷ」を活用する

ベッドでなく布団を使用している場合、立ち上がるための手すりを設置する事が出来ないので、そんな時には矢崎化工株式会社の「たちあっぷ」の活用を検討しましょう。

布団の下に敷いて使用する事で、起き上がる時などの手すりとして使用する事が出来ます。

 

 多少値段は張りますが、1割負担にてレンタルすることも出来るので患者さんやご家族とよく相談してきましょう。

どうしても難しい場合には介護ベッドの導入も検討しましょう。

 

5、ベッドの上には飲み物などの必需品を設置する

ベッドの周りには患者さんが必要となある飲み物やティッシュなどを置くようにしましょう。

枕もとに小さな入れ物などを置いて、飲み物などをまとめて入れておくと整理がしやすいです。

これらのものは患者さんの必需品なので、ケアなどで移動した時には必ずもとの場所に戻しておくようにしましょう。

 

 

6、ベッド周辺にはクッションを置いて転落時に備える

患者さんは転倒などでいつどんな時にケガをするか分かりません。

ベッドの柵や突っ張り棒にはクッションなどを巻いてケガのリスクを少しでも抑えるようにしましょう。

たなみに、病院では患者さんが転倒しないように色々な対策を行いますが、訪問看護では少し考え方が違います。

転倒させないようにし過ぎると、患者さんの行動を制限することになるので、訪問看護では転んでもケガをしないような対策をする事が重要なポイントです。

 

7、動線上で体をぶつけやすい箇所にはクッションを置く

患者さんが日常生活のために行動する動線上で体をぶつけやすい場所にはクッションなどを付けて保護しましょう。

「よく頭をぶつけそうになる」「よく足を引っかける」などの場所には、そこへ行かせないような行動を制限するのではなく、ぶつけてもケガをしないような対策方法が有効です。

せっかく患者さんの一番落ち着ける自宅で医療を受けたいために訪問看護を選んでいただいたのに、行動を制限し過ぎるのは訪問看護のメリットを台無しにしてしまいかねません。

まおつん
訪問看護の良さを活かしつつ、患者さんにリラックスしてケアを受けてもらうように視点を切り替えましょう。

 

まとめ

今回は患者さんの環境整備について解説しました。

アイデアについても色々と紹介しましたが、一番の目的は患者さんの負担を減らすことです。

とは言っても、患者さんの価値観も体の状態も千差万別なので「この方法が絶対に良い」という正解がない難しいところでもあります。

 

まずは患者さんの視点に立ち、患者さんやご家族の話を良く聞きながら実践していく事が重要だといえます。

せっかく訪問看護を選んでいただいたので、不便を強いるのではなく、出来るだけ快適に過ごせるような環境を整えてあげるようにしましょう。

まおつん
患者さんの気持ちに寄り添ってあげる事が看護師の役目ですね。

このブログでは訪問看護のリアルな仕事について情報を発信しています。もし興味があれば関連記事もご覧ください。

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