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「医療保険」と「介護保険」
医療保険や介護保険については看護師の国家試験でも問われる内容なので、看護師の資格を持っている方であれば学生の頃に勉強はしているはずです。
しかし、いざ就職して医療現場に入ると忘れる事も多い人も多いと思います。
改めてこれらの保険の違いを簡単に整理していきましょう。
医療保険制度
そもそも医療保険は、『公的な医療保険』と『民間企業が販売する医療保険』に大きく分けられます。
公的な医療保険については国民全員が加入する事が義務づけされていますが、民間の医療保険は保障をもっと充実されるために任意で加入することができます。
公的な医療保険:国民全員が加入する義務がある。
民間の医療保険:加入したい人だけが加入する。
公的な医療保険のほうは、多くの人に馴染みがある制度で、この制度のおかげで病院にかかった時の医療費は全額負担ではなく、1~3割の負担だけで済んでいます。
公的な医療保険に加入しているおかげで、患者さんが負担する金額を低く抑えることができています。
イメージとしては、国民から預かったお金を政府が必要な人に分け与えるという感じです。
医療保険の負担割合は?
病院などにかかったときに、自分で負担する金額の割合は以下の表のとおりです。(令和4年12月現在)
令和4年10月からは負担割合が変更になっており、これまではなかった「70~74歳の2割負担」が誕生しています。
また、表には『原則』という言葉がでてきますが、現役並みに稼ぎがある人については年齢に関係なく「3割負担」なっているのは従来のとおりです。
負担割合はもっと細かく条件がありますが今回は簡単に解説しています。
介護保険制度
介護保険は、その名のとおり介護が必要になった人をサポートする保険で、40歳以上の全員が加入する義務あります。
会社員や公務員は、40歳になると自動で給料から天引きされて納付する場合がほとんどだと思います。
介護保険は年齢に応じて保険者の区分されるため、65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の第2号被保険者に分かれています。
つまり、年齢が40歳にあがると自動的に介護保険に加入し、65歳になると第1号被保険者になるというイメージです。
第1号被保険者の人で介護が必要と判断された場合、保険者(患者さん)が介護サービスを受けるときのための給付金を受け取ることができます。
第2号被保険者の人は原則的に介護が必要と判断された場合にのみ給付金を受けることができますが、脳梗塞や脳出血、末期がん、間接リウマチなど16種類の「特定疾患」に該当している人のみが受けられる保険となっています。
ちなみに、第2号被保険者が給付金を受け取るための特定疾患は以下のとおりです。
特定疾患16種(第2号被保険者)
・末期がん
・関節リウマチ
・筋萎縮性側索硬化症
・後縦靭帯骨化症
・骨折を伴う骨粗鬆症
・初老期における認知症
・進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病
・脊髄小脳変性症
・脊柱管狭窄症
・早老症
・多系統萎縮症
・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病網膜症
・脳血管疾患・閉塞性動脈硬化症
・変形性関節症(両側の膝関節、股関節に著しい変形を伴う)
訪問看護の場合の医療保険と介護保険は?
『医療保険』と『介護保険』の基本的な部分をおさえたら、次に訪問看護においてはどういった基準で違いがあるのかをみていきます。
訪問看護の場合は、患者さんの『年齢』と『疾患』によって医療保険か介護保険かが決まります。
ざっくりとした決め方として、以下のルールが適用されることを覚えておきましょう。
1、『介護認定』を受けている人は、介護保険がさきに優先される。
2、40歳未満は医療保険が適用される。
3、疾患によっては医療保険が適用される。
訪問看護を受ける患者さんは、基本的には介護保険がさきに優先され、それ以外の人が医療保険の適用を受けることになります。
前の項で解説したように、40歳以上65歳未満の患者さん、つまり第2号被保険者については、16種類の特定疾患があり、かつ、お医者さんから要介護の認定を受けている人だけが介護保険を利用出来るようになっています。
『介護認定』を受けた40歳以上の人であれば『介護保険』が優先的に適用され、自己負担が1割で訪問看護を受ける事ができます。
その一方で、40歳未満の人はまだ介護保険に加入していないので、介護認定を受けているかどうかにかかわらず『医療保険』の適用となります。
また、65歳以上の人であっても『介護認定』されていなかったり、疾患の種類によっては『医療保険』が適用されます。
自己負担の金額だけを比較すれば、介護保険を適用してくれた方がお得ですが、年齢や疾患によっては医療保険が適用されるケースもあります。
訪問看護師は、自分が担当する患者さんについて、どの保険が適用になっているかはいつも把握するようにしておいてくださいね。
保険制度を理解してキャリアアップしたい
今回は、訪問看護師はプロの医療従事者として最低限知っておきたい保険制度の違いについて解説しました。
訪問看護ステーションは『医療法人』に分類されていますので、利益を得ることが大きな目的となります。
つまり、一般企業と同じように利益を追求することで成り立っています。
なぜ医療制度について知っておくと、自分のキャリアプランについて考えるきっかけを与えてくれます。
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しかし、40代になってくると体力的に現場の仕事を続けるのがだんだん厳しくなってくるので、いつまで続けるのか悩むことになります。
「わたし、いつまでここで働けるかな?」
「現場の仕事がそろそろキツい!」
などと考えている看護師は、この経験を活かして次のステップを考える良いきっかけになると願っています。
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訪問看護師の次のキャリア1『管理者』
訪問看護師の次のステップとしては、訪問看護ステーションの『管理者』になれる可能性があります。
管理者になると、患者さんやそのご家族の方から「介護保険が使えますか?」などという質問をたくさん受けますし、料金の説明や交渉の機会も増えてきます。
現場の看護師は普段の業務に忙殺されているので、制度について学び直す機会が少ないのも事実ですが、ずっと体力仕事を続けるのがキツいと思っている看護師は、管理者になるのを目指してみてはどうでしょうか。
訪問看護師の次のキャリア2『認定看護師』
看護師として5年以上の経験を積むと『認定看護師』に挑戦する道が見えてきます。
認定看護師は21分野で18,000程度しかおらず、その中でも『訪問看護認定看護師』は約600人前後といわれている非常に貴重な存在です。
資格を取得するためのハードルはかなり高いですが、そのぶん給料や待遇面ではかなり有利になります。
訪問看護師の次のキャリア3『ケアマネジャー』
介護保険と医療保険の違いを正しく理解することで、ケアマネジャーへの転職が次のステップとして見えてきます。
ケアマネジャーになるには看護師としての実務経験が5年以上必要などの条件がありますが、訪問看護師との仕事上の関係性が深く転職の相性が非常に良いといえます。
また、現場の仕事を引退した訪問看護師がケアマネジャーに転職する人がわりと多いです。
ケアマネジャーは訪問看護とは違った大変さがありますが、人間関係の潤滑油になれる人は向いている仕事です。
勉強からは逃げられない
保険制度について改めて学んでおくことは、今後のキャリアを考えるうえで非常に重要になってきます。
もちろん、今の状態で満足しているのであれば、訪問看護師としてずっと働くことは可能です。
しかし、現場の仕事は体に少しずつ負荷をかけていくので、いざ体を壊した時のことを考えて体力的に優しい仕事に少しずつシフトしていくことも検討したいものです。
その為には勉強することから逃げずにこれらの知識を付けておくことをおすすめしています。
さいごに
今回は最低限知っておいて欲しい『医療保険』と『介護保険』の違いについて解説しました。
国家資格を持った看護師であれば、患者さんがどちらの保険が適用になっているかは常に把握しておきたいものです。
日々現場で働かれている訪問看護師の皆さんは、知識と技術の両方を身に着け、患者さんから信頼される素敵な看護師になってくださいね。
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